大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)1302 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人酒井俊雄の上告理由について。

原判決は、手形法一七条の規定をそのまま適用しているが、本件の抗弁の当否に

ついては、手形法の規定によるべきでなく民法の指名債権譲渡の規定によるべきで

あるのにかかわらず、これをしなかつた原判決は、法令の適用を誤つた違法がある

というにある。

しかし、いわゆる指名債権の譲渡の方法により約束手形債権を譲り受けた場合に

おいて、その譲受人の取得する約束手形債権は譲渡人の有する手形債権であるから、

手形法一七条一項本文の規定により振出人が受取人に対して有する人的抗弁事由を

前記譲渡人に対し主張、対抗しえないときには、その後に右手形債権を指名債権の

譲渡の方法により譲り受けた者に対しても、右人的抗弁事由に関し悪意であると否

を問わず、その人的抗弁事由を振出人から主張、対抗さるべき理由のないことは、

明らかである。�

そして、原判決およびその引用する第一審判決によると、譲渡人たるDことEは、

本件各手形の裏書譲渡に際し、本件手形債権の原因関係である上告会社と訴外F株

式会社の間の契約が同訴外会社の債務不履行によつて解除されるに至るべきことな

ど全く予想していなかつたいわゆる善意の手形取得者であつたというのであるから、

同人は本件各手形債権を上告会社と同訴外会社間の人的抗弁事由について主張、対

抗されることなく取得したのであり、したがつて、同人から本件手形債権を指名債

権の譲渡の方法により譲り受けた被上告人も、右手形債権について同様に取得しう

ることは、明らかである。�

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原判決には、所論のような違法はなく、論旨は、独自の見解にもとづくものであ

つて、採用できない。�

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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