最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)270 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人田中一男の上告理由第一点、第二点について。
論旨は、原判決には、採証法則に違背し、相続権侵害の観念を誤解した違法があ
る、というのである。
しかし、原判決(第一審判決理由を引用)は、判示の事情のもとに、Dおよびそ
の系列に属する相続人らは、いずれも本件土地建物の所有権が自己にあるものと信
じ、上告人らの共有持分を認めず、右Dおよびその系列に属する相続人らの右土地
建物の管理行為は、Eおよび上告人らその系列に属する相続人らの相続権を侵害し
ていた旨認定しているのであつて、原審の右事実認定は、挙示の証拠に照らして是
認しえなくはない。原審が、右事実を認定するにあたり、所論の丙号証の各判決を
証拠の一部として採用したからといつて、違法とはいえない。論旨引用の大審院判
例は本件に適切でない。
所論は、結局、原審が適法に行なつた証拠の取捨判断および事実認定を非難する
に帰するものであつて、採用できない。
同第三点について。
甲の相続権を乙が侵害している場合、甲の相続人丙の乙に対する相続回復請求権
の消滅時効の期間二〇年の起算点は、丙の相続開始の時ではなく、甲の相続開始の
時と解すべきことは、当裁判所の判例(昭和三七年(オ)第一二五八号、同三九年
二月二七日第一小法廷判決、民集一八巻二号三八三頁参照)とするところであつて、
いまこれを変更する必要をみない。所論は、右と異なる見解のもとに原判決を非難
するものであつて、採用できない。
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よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 田 中 二 郎
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
裁判官 柏 原 語 六
裁判官 下 村 三 郎
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