大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)275 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人伊藤典男の上告理由について。�

論旨は、まず、原判決が成立に争いのない乙一、二号証を簡単に排斥している点

に条理および社会通念の無視、採証法則違反があるというが、被上告会社の訴外D

化成株式会社に対する請求書である乙一、二号証の作成発送の日時と甲二号証作成

の日時に関する被上告会社代表者本人の第一審における供述は理詰の答弁であり直

接その仕事にたずさわつていない者の答弁である等の理由をもつて信用できないこ

と、右書証自体に作成発送の日時の記載のないことを掲げて、所論乙一、二号証、

被上告人代表者本人の右供述をもつて本件取引の相手方が右訴外会社であるかどう

かを決する結論を導きえないとしている原判決の証拠取捨の判断は、記録に徴し首

肯できるところであつて、この点に異論を述べる所論は、ひつきよう、原審の専権

事項を云為するにすぎず、上告理由として採用できない。�

次に、論旨は甲一号証(被上告会社の売掛帳簿)が偽造されたものであるという

が、同号証の成立の真正なことは原判決が挙示の証拠によつて認定しているところ

であり、所論偽造を認めるべき証拠資料は記録上見当らないから、論旨は採用でき

ない。

また、所論は、乙一号証は昭和三六年六月二五日以降同年六月三〇日までに作成

され、乙二号証は同年七月二五日以降同月末までに作成されたものであることがそ

の書証の記載内容自体から推認されると主張し、同号各証は、これによつて本件取

引の当事者を明らかにする重大な文書であるから、これと相反する事実を認定する

ためには実験則上納得できる特別の事情がなければならないとして、この点の判断

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を原審が示さない点に審理不尽等の違法があるというが、同号各証の記載内容自体

から所論のような作成日が推認され、かつ、本件取引の当事者が明らかにされると

の所論は独自の所見に基づくものであつて採るを得ない。よつて、右所論を前提と

して原審の違法をいう論旨は採用できず、所論掲記の大審院判例は事案を異にし本

件に適切でないから、これに依拠する所論も採用できない。

その余の所論は、ひつきより、原審の専権たる証拠の取捨判断、事実の認定を非

難するに帰着し、採用の限りでない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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