大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)558 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人伊東正雄の上告理由第一点について。

本件当事者間には未だ婚姻を継続し難い重大な事由があるものとは断定し難いと

した原判決の判断は、その認定事実関係のもとで首肯できないことはない。�

原判決が「双方が本件婚姻成立の経緯、その後における共同生活の実態にかんが

みかつ子供達の幸福を考え、相互に反省と努力とを重ねるならば周囲の者の援助と

協力のいかんによつては、必ずしも将来円満な婚姻関係を回復することが全く期待

できないものではないと認められる。」と判示しているのは、本件当事者相互の反

省と努力および周囲の者の援助と協力が期待できる可能性のあることを認定判示し

ていると解せられるから、右期待の不可能をいう所論は、原審認定にそわないこと

を主張するものであつて採用の限りでない。従つて、該主張を前提として原判決に

民法七七〇条一項五号の解釈を誤つた違法があるとする所論は、すべて採用できな

い。�

同第二点について。

所論は、本件婚姻は当事者が婚姻の自覚も責任もない状態で結ばれたとか、当初

から婚姻の意思の合致が欠けていたとかいうけれども、右所論は原審認定にそわな

いことを主張するものであつて、これを前提として原判決の理由不備をいう論旨は

採用できない。

また、その余の所論は、ひつきよう原審の認定と異る事実を主張して、審理不尽、

理由不備をいうものであり、原審が被上告人に同情する余り重大な事実の誤認をお

かしたとする所論は、原判決を正解しない独自の所見を述べるにすぎないから採用

- 1 -

の限りでない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 柏 原 語 六

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!