大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)885 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人原田武彦の上告理由について。

上告人の本件建物の新築につき、被上告人らが明示的にも黙示的にも承諾をした

事実は認められない旨の原判決の事実上の判断は、その挙示する証拠関係に照らせ

ば是認できる。論旨指摘の各事実があつたからといつて、原判決認定の事情の下に

おいては、黙示の承諾があつたと認めなければならないものではない。

次に、解除権を有する者が、久しきに亘りこれを行使せず、相手方において、そ

の権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至つたため、

その後にこれを行使することが信義誠実に反すると認められるような特段の事由が

ある場合には、右解除は許されないと解するのが相当であるが、原審認定の事実関

係の下における解除権の行使は、まだ、右の場合に該当するとは認められないもの

であつて、単にその行使が解除権発生から七年半以上経過した後であるからとの理

由のみでは、これを無効とすべきではない。原判決には所論の違法は存しない。

更に、地代家賃統制令の適用のない併用住宅の店舗部分を、賃借人が無断取毀し

て住宅部分のみとした場合、それ故に統制令の適用があると主張することは、誠実

信義の原則上許されない。統制令の適用を考慮することなくして、原告等の本件賃

料値上げ請求を認めている原判決には所論の違法はない。

また、新建物が附合して被上告人らの所有に属した旨の主張は、原審でなされた

事迹なく、したがつてこれに対する判断もない。論旨は、原審において主張認定の

ない事実を前提とするものであるから、上告適法の理由とならない。

論旨は、すべて、採用し得ない。

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よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

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