大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和40(あ)537 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意のうち、違憲(三条、三七条違反)をいう点は、その実質

において単なる法令違反の主張を出ないものであり、その余は、事実誤認および量

刑不当の主張であつて、いずれも上告適法の理由に当らない。

弁護人藤井亮の上告趣意のうち、判例違反をいう点について。

原判決が、弁護人の主張した、本件勾留状は第一審判決判示第七の事実について

のものであり、同第一の事実についてのものではないのに、第一審判決がその未決

勾留日数を右第一の事実の刑に通算したのが違法であるとの控訴趣意に対し、右各

公訴事実は併合して審理されており、右第七の事実についての勾留の効果が、被告

人の身柄について右第一の事実についても及んでいることが明らかであるから、第

一審判決の通算は妥当ではないが、いまだ違法というべきではない旨判示したこと

は、所論のとおりである。

ところで、所論引用の大審院および最高裁判所の判例は、被告人に対し二個の刑

が言い渡された場合の未決勾留日数の裁定通算は、未決勾留日数の裁定通算を定め

た刑法二一条の法意に照らし、まず勾留状の発せられた罪に対する刑を本刑として、

これに算入すべき旨判示しているのであるから、原判決は、これらの判例と相反す

る判断をしたこととなり、刑訴法四〇五条二号に規定する最高裁判所の判例と相反

する判断をした場合に当るものといわなければならない。そして、当裁判所も右判

例を正当であると認める。

しかしながら、原判決は、第一審判決をその量刑が不当であるとして破棄し、自

ら判決をするに当つて、第一審における未決勾留日数中七〇日を、第一審判決判示

第二ないし第一四の罪に対する懲役六月の刑を本刑として、これに算入しているの

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であるから、右判例違反は、同法四一〇条一項但書にいう判決に影響を及ぼさない

ことが明らかな場合に当るものといわなければならない。

同弁護人の上告趣意のうち、その余の主張について。

所論は、単なる法令違反の主張であつて、上告適法の理由に当らない。

また、記録を調べてみても同法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和四〇年一一月三〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 下 村 三 郎

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

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