大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和40(オ)1266 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人鈴木靖生、同村田豊治、同平山正剛、同鈴木弘喜の上告理由第一点に

ついて。

論旨は、原審の認定しない事実を主張して、原判決を非難するに帰するものであ

つて、採用しえない。

同第二点について。

論旨は、原判決は民法一〇九条の解釈を誤り、審理不尽、理由不備の違法を犯し

たものであるという。しかし、原判決は、上告会社は長野県内における業務の拡張

をはかるために連絡事務所を設置することになり、上告会社営業部責任者が訴外E

と話し合つた結果、上告会社において松本市内に店舗を賃借し、右訴外人を同所に

常駐させ、同訴外人をして長野県内の官公署発注工事の獲得に尽力させた結果、原

判示プール建設工事を請負つたこと、訴外Eは、前記事務所の入口に「A株式会社

Dセンター」と表示し、右名称を刻したゴム印を同所に備え付け、さらに自己の氏

名に同開発センター所長の肩書を付し、かつ上告会社の本社および東京営業所の所

在地、電話番号等をも付記した名刺を作成使用して、上告会社の長野県下における

請負工事の受注獲得につとめ、原判示プール建設工事においては、受注後の工事資

材の購入、代金支払等に関しても、右事務所の電話による上告会社本社への連絡、

右ゴム印の取引書類への押捺、右事務所における代金、手形、小切手の授受をなし、

もつて右工事資材等の現地調達につき上告会社の代理人として行動し、これらのす

べてにわたり代理権の授与を受けているかのように振舞つたこと、訴外Eが前記事

務所に上告会社の社名を冠したDセンターなる表示を用いていたことは、上告会社

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もこれを許容しており、上告会社の営業関係責任者として必要資材を現地で発注す

る代理権を付与されていた営業部第二課長Fは、被上告会社らからの本件資材購入

当時、訴外Eにおいて前記開発センター所長の肩書ある名刺を使用して前記委嘱事

務に従事することを知りながらこれを認容していたことを確定しているのであつて、

右確定事実によれば、上告会社において訴外Eに対して上告会社のため資材の現地

調達の代理権を付与した旨を表示したものと解するに難くない。従つて、原判決に

所論の違法はないから、論旨は採用できない。

同第三点について。

原判決によれば、原審は、訴外Eの事務所に上告会社のDセンターなる表示がな

されていたことだけから同訴外人と被上告会社らとの原判示取引について民法一〇

九条の表見代理が成立すると判断しているものではなく、前記上告理由第二点に対

する判断に説示したとおりの原審確定事実から右表見代理の成立を認めていること

が明らかである。論旨は、原判決を正解せず、本件と場合を異にする判例を掲げて、

原判決の違法をいうにすぎないから、採用するに足りない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

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