最高裁判所第三小法廷 昭和41(あ)546 判決
主 文
原判決中「当審における未決勾留日数中一三〇日を原判決の刑に算入す
る」との部分を破棄する。
原審における未決勾留日数一二三日を第一審判決の刑に算入する。
検察官のその余の部分に対する本件上告および被告人の本件上告をいず
れも棄却する。
理 由
弁護人山口親男の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張であ
つて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
検察官井本台吉の上告趣意について。
記録によれば、被告人は、本件につき昭和四〇年九月二九日第一審である長崎地
方裁判所において懲役三年(未決勾留日数三〇〇日算入、訴訟費用負担)の言渡を
受け、同日控訴の申立をし、昭和四一年二月一九日原裁判所において、「本件控訴
を棄却する。当審における未決勾留日数中一三〇日を原判決の刑に算入する。」と
の言渡を受けたものであることおよび右第一審判決宣告の当時から引続き勾留され
ていたところ、昭和四〇年一〇月一六日保釈許可決定により釈放されたが、右保釈
を取り消す決定により同年一一月六日再び収監され、以後原判決の宣告にいたるま
で引続き勾留されていたものであることが認められる。
右によれば、被告人の原審における未決勾留日数で刑法二一条により本刑に算入
することのできる日数が一二三日であることは明らかであつて、原裁判所がこれよ
り多い日数を第一審判決の刑に算入する旨の裁判をしたことは、刑法同条の解釈適
用を誤つた違法があり(所論は判例違反もいうが、原判決が所論引用の判例と相反
する法律判断を示しているものとは認められないから、右論旨は採るを得ない。)、
原判決中右未決勾留日数を算入した部分は、これを破棄しなければ著しく正義に反
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するものといわなければならない。
よつて、刑訴法四一一条一号、四一三条但書により、原判決中「当審における未
決勾留日数中一三〇日を原審判決の刑に算入する」との部分を破棄し、刑法二一条
により原審における未決勾留日数一二三日を第一審判決の刑に算入し、原判決中そ
の余の部分に対する検察官の上告は、上告趣意としてなんらの主張がなく、したが
つて、その理由がないことに帰し、被告人の本件上告は全部理由がないから、刑訴
法四一四条、三九六条により右各上告を棄却し、裁判官全員一致の意見で、主文の
とおり判決する。
検察官 稲川竜雄公判出席
昭和四一年九月一三日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 下 村 三 郎
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
裁判官 柏 原 語 六
裁判官 田 中 二 郎
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