大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和41(行ツ)41 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人上辻敏夫の上告理由第一点及び第二点について。

おもうに、買収の対象たるべき農地とは、「耕作の目的に供される土地」をいう

(自作農創設特別措置法二条一項参照)のであるが、当該土地が右の農地に該当す

るかどうかは、単に買収当時における土地の現況にのみ着目することなく、土地の

利用目的、耕作の態様その他諸般の事情を勘案して客観的にこれを決定すべきこと、

当裁判所の判例とするところである(たとえば、昭和二四年(オ)第一七号、同年

五月二一日第二小法廷判決、民集三巻六号二〇九頁、昭和二四年(オ)第二八号、

同二八年五月二八日第一小法廷判決、民集七巻五号五八六頁、昭和三〇年(オ)第

三七九号、同三二年一〇月八日第三小法廷判決、民集一一巻一〇号一七二六頁参照)。

いま、これを本件についてみるのに、原判決は、本件土地(第一審判決添付目録

記載の土地合計四筆二反五畝歩を指す。以下同じ。)を含む附近一帯の土地につき、

大正三年耕地整理が施行されて昭和七、八年頃には大略一反歩ずつに整然と区画さ

れ、これらの土地は、昭和八年都市計画法による大阪都市計画区域に編入された事

実を確定し、また、上告人より、本件土地はもともと上告人の先代が三人の子の住

宅用地とする目的で大正一一年頃購入したものであるが、本件土地を含む附近一帯

の土地は、早くから大阪近郊の住宅地として開発され、昭和一四年一〇月には風致

地区に指定された旨の主張があり、しかも、後段叙説のごとく、原判決確定の事実

をもつてしては、訴外人らによる本件土地の耕作が必ずしも所有権以外の正当な権

原に基づくものであるとはいえないにもかかわらず、これらの事情を度外視し得べ

き特段の理由を説示することなく、本件土地のうち、a番及びb番は訴外Dが昭和

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一九年頃からその全部を耕作し、c番はその全部を附近の住民が食糧増産のため畑

として耕作し、d番には周囲にまだ数本の松の木が生えていたが、買収当時、訴外

Eがその半分程を畑にし、野菜、薯等を作つていた事実が認められるということか

ら、直ちに、本件土地が当時買収の対象たるべき農地であると判断したのは、自作

農創設特別措置法二条一項の解釈適用を誤り、ひいては、審理不尽、理由不備の違

法に陥つたものというべきである。�

また、原判決は、(イ)訴外Dが前記a番及びb番の土地を耕作するについては

上告人の母の承諾があり、(ロ)上告人は附近の住民が前記c番の土地を耕作する

のを黙認しており、(ハ)訴外Eが前記d番の土地を耕作するについては本件土地

の管理人であつた右訴外Dの暗黙の了解を得ていたという事実を認定したのみで、

上告人の母又は訴外Dに本件土地の使用貸借叉は賃貸借につき上告人を代理し得べ

き正当な権限があつたかどうかとか、買収当時c番の土地を耕作していた附近の住

民を個別的に特定する等右の黙認をもつて承諾とみなすべき事情を審究することな

く、たやすく、本件土地を小作地であると判断したこと、判文上明らかであるが、

かかる措置は、自作農創設特別措置法二条二項の適用を誤り、審理不尽、理由不備

の違法をおかしたものというほかはない。

されば、論旨は、いずれも理由があり、原判決は、その余の上告理由について判

断するまでもなく、破棄を免かれず、前示の点につきさらに審理を尽さしめるため、

本件を原裁判所に差し戻すこととする。

よつて、民訴法四〇七条一項の規定に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 横 田 正 俊

裁判官 田 中 二 郎

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裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

裁判官 飯 村 義 美

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