大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和44(あ)1390 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意は、憲法三七条二項、三一条違反をいうが、その実質は単

なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

弁護人児玉義史の上告趣意第一点は、憲法三一条違反をいうが、その実質は単な

る訴訟法違反の主張であり、第二点は、単なる訴訟法違反の主張であつて、適法な

上告理由にあたらない。なお、控訴趣意の撤回について、刑訴法にこれを認めた明

文がないからといつて、その撤回が法律上全然許されないものであると解すべきで

はなく、適法にこれを撤回することができるものと解すべきである。本件記録によ

れば、原審第一回公判において原審弁護人は同人名義の控訴趣意書に基づいて弁論

し、「但し第一の四は情状として陳述する。なお被告人の控訴趣意書は陳述しない。」

と述べていることは所論指摘のとおりである。しかして、右公判期日に出頭した被

告人において、これが自己の意思に反する旨述べた形跡は認められない。

したがつて、被告人は自己名義の控訴趣意の撤回に異議なく、また、原審弁護人は

同弁護人名義の控訴趣意中第一の四の判示第五の事実に関する事実誤認の主張は、

前記のとおり情状として陳述する旨釈明しているのであるから、原判決が第一審判

決を破棄自判するにあたり、被告人の控訴趣意および弁護人の控訴趣意中判示第五

の事実に関する事実誤認の点に対して判断を示さなかつたからといつて、これを違

法ということはできない。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同法四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により、裁判官全

員一致の意見で、主文のとおり決定する。

昭和四四年一〇月二八日

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最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 関 根 小 郷

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

裁判官 飯 村 義 美

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