大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和44(あ)850 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人山本雅彦の上告趣意中、判例違反をいう点は、原判決が引用する第一審判

決について、その判示に沿わない事実関係を前提とする主張であり、その余の点は、

事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて、いずれも上告理由として不

適法である。

ところで、併合罪中二個以上の有期の懲役又は禁錮に処すべき罪がある場合にお

いては、所定刑中有期の懲役を選択した各罪につき、まずもつて刑の再犯加重をす

べきものであり、ついで法律上の減軽をし、併合罪の加重をおこなつた結果が、被

告人に対し有期の懲役でなく禁錮を言い渡すべきこととなつても、その故に、既に

した再犯加重が違法となるような筋合いでないことは、刑法四七条、五六条、七二

条の規定に照らし、明らかである。

してみれば、被告人の道路交通法違反の罪につき有期の懲役を選択して再犯加重

をしたうえ、これと併合罪の関係にたつ業務上過失致死の罪につき禁錮を選択して、

両者の軽重を比較し、重い禁錮につき法定の併合罪の加重をした刑期範囲内で、被

告人に対し禁錮八月を言い渡した本件第一審判決の法令の適用は、もとより相当で

ある。しかるに、原判決は、第一審が被告人に禁錮を言い渡しながら再犯加重をし

たのは違法であるとし、第一審判決を破棄したのであるから、右は、判決に影響を

及ぼすべき法令の違反を犯したものと言わざるを得ない。もつとも、原判決は、自

判するに当り適法な処断刑期範囲内における禁錮八月の刑を言い渡しており、その

刑も相当であるから、右法令の違反は、未だ原判決を破棄しなければ著しく正義に

反するものとは認められない。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

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よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり決定する。

昭和四五年一二月一五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 下 村 三 郎

裁判官 田 中 二 郎

裁判官 松 本 正 雄

裁判官 飯 村 義 美

裁判官 関 根 小 郷

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