大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和44(あ)938 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人下田三子夫の上告趣意第一点は、憲法三八条二項違反をいうが、所論被告

人の供述について、任意性ないし信用性を疑うべき証跡がないから、所論は前提を

欠き、同第二点は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、いずれも上告適法

の理由にあたらない。

同第三点の一ないし四は、単なる法令違反の主張であつて、上告適法の理由にあ

たらない。なお、朝鮮人としての法的地位をもつ者は、所論日本と韓国の併合のと

き以後も、日本人としての法的地位をもつ者とは、日本の国内法上、はつきり区別

されていたのである。そして、昭和二〇年勅令第五四二号に基づいて発せられた外

国人登録令は、右の朝鮮人としての法的地位をもつ者を外国人とみなして登録義務

を課していたものであり、また、所論平和条約の発効により、右の朝鮮人としての

法的地位をもつ者は、日本の国籍を喪失したことになつたので、右発効の日から施

行された外国人登録法は、右の朝鮮人としての法的地位をもつ者を外国人として登

録義務を課しているのである。このことは、昭和二四年五月四日大法廷判決(裁判

集刑事一〇号七頁)および昭和三六年四月五日大法廷判決(民集一五巻四号六五七

頁)によつて明らかである。

同第三点の五ないし九のうち、憲法違反をいう点は、登録不申請の罪が成立した

者に、なお継続して登録申請義務を課したからといつて、憲法三八条一項に違反す

るものでないことは、昭和三一年一二月二六日大法廷判決(刑集一〇巻一二号一七

六九頁)の趣旨に照らして明らかであるから、所論は理由がなく、その余は、単な

る法令違反、事実誤認の主張であつて、上告適法の理由にあたらない。

また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。

- 1 -

よつて、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

昭和四五年一一月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

裁判官 飯 村 義 美

裁判官 関 根 小 郷

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!