大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和46(行ツ)6 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告人らの上告理由第一点について。

最高裁判所の裁判官は、天皇または内閣によつて任命されるものであつて、その

任命行為によつて任命が完了すること、憲法七九条による国民審査の制度は、その

実質において、いわゆる解職の制度であること、そして、国民審査において投票者

の多数が裁判官の罷免を可とするときは、解除条件の成就により当該裁判官の任命

が失効する旨の所論の採用し難いことは、すでに当裁判所の判例とするところであ

る(昭和二四年(オ)第三三二号同二七年二月二〇日大法廷判決・民集六巻二号一

二二頁、昭和三九年(行ツ)第一〇七号同四〇年九月一〇日第二小法廷判決・裁判

集民事八〇号二七五頁)。論旨は、任命自体の審査と任命後の解職とを峻別したう

え、憲法七九条による国民審査は、任命自体について行なわれなければならない旨

を強調するけれども、「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる

衆議院議員総選挙の際国民の審査に付」されるのであつて(憲法七九条二項)、こ

の任命後最初に行なわれる国民審査においては、任命後の解職の可否いかんという

形式のもとで、任命についての審査が行なわれるという実質をもつものということ

もでき、右の審査の制度を解職制度と解したからといつて、なんら、所論のように、

最高裁判所の裁判官の任命に国民の意思を反映させるという趣旨が失われることに

はならない。論旨は理由がない。

同第二点について。

所論のような投票所の施設は、むしろ投票人の便宜のためのものにすぎない。そ

して、具体的に本件において、衆議院議員選挙の投票をした者が、(一)国民審査の

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投票をしないで場外に出ることを妨げるような強制措置が講ぜられたとか、(二)審

査の投票用紙の受領を強制されたとか、(三)審査の投票用紙を投票箱に投入するこ

とを強制されたとかの事実は、なんら上告人らの原審において主張せず、したがつ

てまた原審の確定しないところであり、選挙の投票をした者が審査の投票所を通過

することになつていたからといつて、出頭を強制されたことにならないことは、い

うまでもないところである。違憲をいう趣旨の主張は、その前提を欠く。論旨は理

由がない。

同第三点について。

審査の投票用紙に連記された裁判官数名のうち、その一部についてのみ×印の投

票をしようとする者が、その他の裁判官については当然白票(積極的に罷免を可と

するものでない投票)を投ずるの止むなきに至つたとしても、なんら憲法の保障す

る自由を侵害するものでないことは、当裁判所の判例とするところであつて(前記

大法廷判決参照)、原判決理由二の(三)の判示は相当である。論旨は理由がない。

同第四点について。

罷免を可とする積極的な意思を有する×印の投票以外のものを、すべて「罷免を

可としない投票」として取り扱うことが、なんら所論憲法一九条、二一条に違反す

るものでないことは、当裁判所の判例とするところであり(前記大法廷判決参照)、

本件審査が同法一三条に違反する旨の論旨がその前提を欠くことは、第二点につき

説示したところからしても明らかである。論旨は、すべて理由がない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、

裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 関 根 小 郷

裁判官 天 野 武 一

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裁判官 坂 本 吉 勝

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