最高裁判所第三小法廷 昭和47(さ)2 判決
主 文
原略式命令を破棄する。
被告人を罰金二万五〇〇〇円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇〇〇円を一日に換算し
た期間、被告人を労役場に留置する。
理 由
記録によると、千葉簡易裁判所は、被告人に対する傷害被告事件(同庁昭和四七
年(い)第一九六九号)について、昭和四七年七月二五日付の略式命令により、被
告人の傷害の事実を認定し、刑法二〇四条、六〇条、一八条、罰金等臨時措置法二
条一項、三条一項、刑法六条、刑訴法三四八条を適用して、被告人を罰金四万円(
その不完納の場合は金一〇〇〇円を一日に換算、仮納付命令付。)に処し、右略式
命令は同年八月九日確定したことが認められる。
ところで、傷害罪(刑法二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号)の法定刑の
うち罰金の額は、昭和四七年法律第六一号による罰金等臨時措置法の改正により、
従前の「二万五千円以下」が「十万円以下」に改められ、右法律は同年七月一日施
行されたものであるところ、被告人の本件傷害の所為は右改正前の行為であり、犯
罪後の法律により刑の変更があつた場合であるから、刑法六条、一〇条により軽い
行為時の同法二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号を適用すべきものである。
そして、行為時の刑法二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号によれば、傷害罪
の罰金の法定刑の最高額は二万五〇〇〇円であるから、これを超過して被告人を罰
金四万円に処した右略式命令は、法令に違反していることが明らかであり、しかも、
被告人にとつて不利益であるといわなければならない。
よつて、刑訴法四五八条一号但書により、主文第一項のとおり原略式命令を破棄
し、被告事件についてさらに判決することとする。
- 1 -
原略式命令によつて確定された傷害の事実に法令を適用すると、右事実は、行為
時においては刑法二〇四条、六〇条、昭和四七年法律第六一号による改正前の罰金
等臨時措置法三条一項一号に、裁判時においては刑法二〇四条、六〇条、改正後の
罰金等臨時措置法三条一項一号に該当するが、犯罪後の法律により刑の変更があつ
たときにあたるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、
所定刑中罰金刑を選択し、その金額の範囲内で被告人を罰金二万五〇〇〇円に処し、
右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇〇〇円を一日に
換算した期間被告人を労役場に留置することとし、主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。
検察官別所汪太郎 公判出席
昭和四八年二月二七日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 坂 本 吉 勝
裁判官 田 中 二 郎
裁判官 関 根 小 郷
裁判官 天 野 武 一
裁判官 江 里 口 清 雄
- 2 -