最高裁判所第三小法廷 昭和48(オ)269 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人岡部勇二の上告理由について。
法人税の課税標準としての法人の所得の計算にあたり、会社が従業員の給料を損
金として算入することができるのは、給料が従業員の会社に対する労務提供の対価
として会社の営業利益についての必要経費と認められるからである。そうすると、給
料名義で支払われた金員であつても、それが従業員の会社に対する労務提供の対価
とみられない場合は、その支払が雇傭契約上会社の義務とされている等特段の事情
がないかぎり、損金に算入することはできないものといわなければならない。そし
て、原判決の適法に確定したところによると、本件金員は、右のような特段の事情
がないのに、Dが行方不明となり、会社に対して労務の提供がなかつたのに同人を
名宛人としてその妻に支払われたというのであるから、右金員を損金に算入するこ
とが許されないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に
所論の違法はなく、右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、失当である。
論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 天 野 武 一
裁判官 坂 本 吉 勝
裁判官 江 里 口 清 雄
裁判官 高 辻 正 己
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