大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和49(あ)1000 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人雪入益見、同田原俊雄の上告趣意第一点について

所論は、鉄道公安職員が法律に基づかずに日本国有鉄道の内部規程にすぎない「

鉄道公安職員基本規程」を根拠として対人的な強制力の行使をすることは憲法三一

条に違反する、という。しかし、被告人はA運転士の保護警備の職務を執行中の鉄

道公安職員に暴行を加えたとして有罪とされたもので、鉄道公安職員が対人的な強

制力を行使した事案ではないから、所論違憲の主張は、前提を欠き、適法な上告理

由にあたらない。

同第二点について

所論は、鉄道公安職員がA運転士を確保するための組合側の説得を排除する等積

極的に組合側の団結行動を実力を用いて排除したことは憲法二八条、労働組合法七

条三号に違反する、という。しかし、鉄道公安職員は退区点呼終了まで業務命令に

基づき業務を遂行する意思を有していたA運転士を保護し、その就労を確保しよう

としたにすぎないことは、原判決の認定するところであつて、所論は、原判決の認

定にそわない事実関係を前提とする違憲、違法の主張であつて、適法な上告理由に

あたらない。

同第三点について

所論は、鉄道公安職員がA運転士の腕をとつて運転当直助役室へ誘導しようとし

たことは憲法一八条、労働基準法五条に違反する、という。しかし、鉄道公安職員

の右の行為がA運転士の意思に反しないことは原判決の認定するところであつて、

所論は、原判決の認定にそわない事実関係を前提とする違憲、違法の主張であつて、

適法な上告理由にあたらない。

- 1 -

同第四点について

所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらな

い。

同第五点について

所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、

主文のとおり決定する。

昭和五〇年一一月二八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 坂 本 吉 勝

裁判官 関 根 小 郷

裁判官 天 野 武 一

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 高 辻 正 己

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!