大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和49(オ)343 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中原保、同中原康雄、同大塚明の上告理由第一点及び第二点について

原審の確定した事実によると、上告人は、本件売買一任勘定取引について、昭和

三七年三月一四日代理人Dを介して被上告人のE支店に対し手仕舞を申し入れたが、

同月一六日同支店のF支店長代理の勧告に従つて取引を継続することにし、その後

取引を打ち切つてその清算をした昭和三八年七月二九日までこれを継続していたの

であつて、上告人主張の二一〇〇万円の返済契約及び二〇一七万円の返済契約はい

ずれも成立していないというのであり、右認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、

正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

所論は、民法五四〇条の適用の誤りをいうが、同条二項の規定は、契約解除の意

思表示をした者が相手方の同意を得てした右意思表示の撤回の効力を妨げるもので

はないと解するのを相当とするところ、前記認定事実によると、上告人は、一旦手

仕舞を申し入れたものの、F支店長代理の勧告に従つて取引を継続することにし、

現に被上告人との間でこれを継続したというのであるから、上告人は被上告人の承

諾を得て右手仕舞の申入を撤回したものとみるべきであつて、仮に右手仕舞の申入

が本件売買一任勘定取引の解除の意思表示にあたるとしても、右撤回は有効であり、

取引の継続を認めた原審の判断に所論の違法はない。

論旨は、採用することができない。

同第三点について

所論の点は原判決に影響を及ぼすものではないから、論旨は採用することができ

ない。

- 1 -

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし

て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することがで

きない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 辻 正 己

裁判官 天 野 武 一

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 服 部 高 顯

裁判官 環 昌 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!