大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和50(オ)636 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告人の上告理由について

記録によると、東京地方裁判所八王子支部が昭和五〇年一月二三日言い渡した第

一審判決に対し、上告人が同年二月二三日到着の郵便によつて控訴を申し立てたと

ころ、原審は、第一審判決正本が上告人に送達されたのが同年二月八日であると認

定し、右控訴は控訴期間を徒過した不適法なものであるとの理由により、これを却

下したことが明らかであり、原審が右の認定に供した郵便送達報告書には、同判決

正本が前記昭和五〇年二月八日昭島市福島町九九八番地一二棟一〇一号の上告人宅

において上告人本人に直接交付されたかのごとき記載がある。

しかし、上告人の提出した控訴状には、上告人の居所として「府中刑務所在監中」

と記載されており、この事実と、上告人が第一審において当初被告本人として訴訟

行為をしていながら、その第三回口頭弁論期日である昭和四九年一二月九日以後は

出頭していないとの記録上明らかな事実等をあわせ考えると、上告人が昭和五〇年

二月八日当時も在監中であつた可能性があり、前記郵便送達報告書の記載につき検

討を要しないかどうか、少なくとも上告人が控訴状提出までに在監者となつている

というのであるから、控訴期間を僅か一日徒過したのについては特別の事情が介在

するのではないか、などの点につき疑いを抱くのが自然というべきである。

したがつて、原審としては、十分な職権調査を尽くしてかような疑問点を解明す

べきであり、その結果、もし上告人が昭和五〇年二月八日も在監中であつたとの事

実が存在するとすれば、その旨の届出があつたかどうかに関係なく、同日上告人の

自宅において本人を受送達者としてされた送達手続は無効と解すべきであり、上告

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人の申し立てた本件控訴は控訴期間を徒過したものとすることはできないといわな

ければならない。�

しかるに、原審は、本件控訴が法定の期間を経過して提起された不適法なもので

あるとしてただちにこれを却下したのであつて、原判決には審理不尽ひいて理由不

備の違法があるといわざるをえず、この点を指摘する論旨は理由がある。したがつ

て、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れず、本件は更

に審理を尽くす必要があるからこれを原審に差し戻すこととし、民訴法四〇七条一

項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 服 部 高 顯

裁判官 天 野 武 一

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 高 辻 正 己

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