大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和51(あ)2144 判決

主 文

原判決中、「当審における未決勾留日数中九〇日を原判決の本刑に算入

する。」とある部分を破棄する。

その余の部分に対する本件各上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

記録によれば、被告人は、本件につき昭和五〇年一二月二六日別件勾留中として

起訴され、同日本件公訴事実につき勾留状の執行を受け、同五一年六月三〇日東京

地方裁判所において懲役一年の判決の言渡を受けて、同年七月一二日控訴の申立を

し、引き続き勾留を継続され、同年一一月三〇日原裁判所において、「本件控訴を

棄却する。当審における未決勾留日数中九〇日を原判決の本刑に算入する。」との

判決を言渡されたものであるが、他方、被告人は、同五〇年六月一一日東京地方裁

判所において、別件の覚せい剤取締法違反により懲役二年(未決勾留日数三〇日算

入)に処せられ、この判決は同五一年三月一三日確定し、即日右刑の執行の着手が

あり、原判決言渡時において引き続き右刑の執行を受けていたことが認められる。

したがつて、原審における未決勾留はその全部の期間が右刑の執行と競合していた

ものである。

このように、懲役刑の執行と競合する未決勾留の日数を本刑に算入することが刑

法二一条の適用を誤り違法であることは、論旨引用の当裁判所の判例(昭和二九年

(あ)第三八九号同三二年一二月二五日大法廷判決・刑集一一巻一四号三三七七頁、

同三三年(あ)第一五一四号同年一一月七日第二小法廷判決・刑集一二巻一五号三

五〇四頁、同四七年(あ)第一七五〇号同四八年三月一五日第一小法廷判決・裁判

集刑事一八六号二八七頁、同五〇年(あ)第九八七号同年一一月二八日第三小法廷

判決・裁判集刑事一九八号六九九頁、同五〇年(あ)第二三八五号同五一年六月二

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九日第三小法廷判決)の判示するところであるから、原判決が懲役刑の執行と競合

する原審における未決勾留の日数中九〇日を第一審判決の本刑に算入する旨言渡し

たことは、刑法二一条の適用につき右判例と相反する判断をしたものといわなけれ

ばならない。論旨は理由があり、原判決中右の部分は、刑訴法四〇五条二号、四一

〇条一項本文により破棄を免れない。なお、原判決中その余の部分に対する検察官

の上告は、上告趣意としてなんらの主張がなく、したがつてその理由がないことに

帰するものである。

弁護人木村清司の上告趣意について

論旨は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

よつて、同法四一三条但書により、原判決中、「当審における未決勾留日数中九

〇日を原判決の本刑に算入する。」との部分を破棄し、その余の部分に対する各上

告は、同法四一四条、三九六条によりこれを棄却することとし、当審における訴訟

費用は、同法一八一条一項但書により被告人に負担させないこととし、裁判官全員

一致の意見で、主文のとおり判決する。検察官近松昌三 公判出席

昭和五二年五月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 服 部 高 顯

裁判官 天 野 武 一

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 高 辻 正 己

裁判官 環 昌 一

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