大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和52(あ)1040 判決

主 文

原判決中、「当審における未決勾留日数中一二〇日を原判決の刑に算入

する。」との部分を破棄する。

原審における未決勾留日数中一一四日を本刑に算入する。

その余の部分に対する本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

記録によれば、被告人は、本件公訴事実中のAとの共謀にかかる窃盗(第一審判

決判示第二)の事実について起訴前である昭和五一年八月七日勾留状の執行を受け、

その後第一、二審を通じ引き続き勾留を継続されていたものであるが、その間、同

年一二月一三日第一審判決の宣告を受け、これに対し同月二五日控訴を申し立てた

ところ、原裁判所は、昭和五二年五月一八日右控訴を棄却するとともに、「当審に

おける未決勾留日数中一二〇日を原判決の刑に算入する。」旨の判決を言い渡した

ことが認められる。他方、被告人は、昭和五一年七月三〇日足立簡易裁判所におい

て犯人隠避罪により罰金三万円に処せられ、同裁判は同年九月二一日確定し、右罰

金刑の換刑処分としての労役場留置の執行が、本件の未決勾留中である昭和五二年

一月二四日から同年二月二二日に至る間引き続き行われたことも、本件記録上明ら

かなところである。

ところで、右のように未決勾留と競合して罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執

行が行われた場合には、その重複する部分の未決勾留日数を本刑に算入することが

違法であることは、論旨引用の当裁判所昭和二九年(あ)第三八九号同三二年一二

月二五日大法廷判決・刑集一一巻一四号三三七七頁の趣旨及び昭和四六年(あ)第

二〇一〇号同四七年四月一三日第一小法廷判決・裁判集刑事一八四号一一七頁、昭

和四九年(あ)第一三三九号同年一一月二九日第三小法廷判決・裁判集刑事一九四

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号三〇一頁、昭和五〇年(あ)第九七八号同年九月二五日第一小法廷判決・裁判集

刑事一九七号四四三頁によつて明らかなところであるから、原審における未決勾留

日数のうち被告人の本刑に算入することの許される日数は、控訴申立の日である昭

和五一年一二月二五日以降原判決言渡の日の前日である昭和五二年五月一七日まで

の日数から前記労役場留置の執行されていた日数を除く一一四日にすぎない。しか

るに、原判決は、これを超えて原審における未決勾留日数一二〇日を第一審の刑に

算入する旨言い渡したものであるから、前記各判例に違反するものであり、上告論

旨は理由があるといわなければならない。

よつて、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決

のうち被告人に対し原審における未決勾留日数中一二〇日を第一審の刑に算入した

部分を破棄し、刑法二一条を適用して原審における未決勾留日数中一一四日を本刑

に算入することとする。原判決のその余の部分については、上告趣意としてなんら

主張がなく、したがつてその理由がないことに帰するから、刑訴法四一四条、三九

六条によりこれを棄却し、当審における訴訟費用については、同法一八一条一項但

書により被告人に負担させないこととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり

判決する。

検察官村上久 公判出席

昭和五二年一一月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 高 辻 正 己

裁判官 天 野 武 一

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 服 部 高 顯

裁判官 環 昌 一

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