大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和52(あ)1944 判決

主 文

原判決中「未決勾留日数中当審における一〇〇日を右刑に算入する。」

とある部分を破棄する。

その余の部分に対する本件各上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

本件記録によれば、被告人は、起訴前である昭和五一年一一月二二日本件覚せい

剤取締法違反の事実と同一性のある事実により勾留状の執行を受けて以来、第一、

二審を通じ勾留を継続されている者であるが、同五二年三月三一日山口地方裁判所

において懲役二年六月、未決勾留日数中八〇日本刑算入の判決を言い渡され、これ

に対して第一審弁護人から同年四月八日控訴を申し立てたところ、原審は、同年九

月二七日、第一審判決の法令違反を理由にこれを破棄し、被告人を懲役二年に処す

るとともに第一審における未決勾留日数中八〇日及び控訴審における未決勾留日数

中一〇〇日をいずれも右本刑に算入する旨の判決を言い渡したことが認められる。

そして、原判決が右のとおり控訴審における未決勾留日数中一〇〇日を本刑に算入

する旨言い渡した点は、その理由中の記載に照らし、第一審弁護人の控訴申立後控

訴審判決言渡の前日までの未決勾留日数の一部を刑法二一条により裁量によつて算

入した趣旨であることが明らかである。

しかし、本件のように、控訴審が第一審弁護人の控訴に基づいて第一審判決を破

棄する場合には、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法四九五条二項二号により、判

決が確定して執行される際当然に全部本刑に通算されるべきものであつて、控訴裁

判所には右日数を本刑に通算するか否かの裁量権がゆだねられておらず、刑法二一

条により判決においてその全部又は一部を本刑に算入する旨の言渡をすべきでない

ことは、所論引用の当裁判所の判例(昭和四五年(あ)第一七七六号同四六年四月

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一五日第一小法廷判決・刑集二五巻三号四三九頁)の示すところである。したがつ

て、原判決中控訴審における未決勾留日数の一部を本刑に算入した部分は右判例に

違反して刑法二一条を適用したものであり、この点に関する論旨は理由がある。な

お、原判決中その余の部分に対する検察官の上告は、上告趣意としてなんらの主張

がなく、したがつてその理由がないことに帰するものである。

弁護人今登の上告趣意について

所論は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

よつて、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により原判決中

「未決勾留日数中当審における一〇〇日を右刑に算入する。」とある部分を破棄し、

その未決勾留日数を算入しないこととし、原判決中その余の部分に対する各上告は、

同法四一四条、三九六条によりこれを棄却し、当審における訴訟費用は同法一八一

条一項但書により被告人に負担させないこととし、裁判官全員一致の意見で、主文

のとおり判決する。

検察官中川一 公判出席

昭和五三年五月二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 天 野 武 一

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 高 辻 正 己

裁判官 服 部 高 顯

裁判官 環 昌 一

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