大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和55(あ)1702 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中一〇〇日を原審の言い渡した刑

に算入する。」との部分を破棄する。

原審における未決勾留日数五五日を本刑に算入する。

その余の部分に対する本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

記録によれば、被告人は、本件について、昭和五五年二月一九日起訴されるとと

もに勾留状の執行を受け、同年四月二五日熊本地方裁判所において、懲役七月の判

決の言渡しを受け、同年五月四日控訴の申立をし、引き続き勾留されていたが、同

年六月二七日保釈許可決定により釈放されて以来同年九月一六日原審において「本

件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中一〇〇日を原審の言い渡した刑に

算入する。」との判決の言渡しがあるまで身柄を拘束されていなかつたことが明ら

かであつて、原審における未決勾留日数は、右控訴申立の日である同年五月四日か

ら右釈放の日である同年六月二七日までの五五日であることが認められる。

そして、現実に存在しない未決勾留日数を本刑に算入することが刑法二一条の適

用を誤り違法であることは、所論引用の当裁判所昭和三八年(あ)第二九六五号同

四一年一月一八日第三小法廷判決・裁判集刑事一五八号一頁、昭和四二年(あ)第

四四三号同年四月一四日第三小法廷判決・裁判集刑事一六三号七九頁及び昭和五一

年(あ)第六一三号同年七月九日第二小法廷判決・裁判集刑事二〇一号一九一頁の

判示するところであるから、原判決が、被告人の原審における未決勾留日数は五五

日であるのに、右日数を超えて原審における未決勾留日数中一〇〇日を第一審判決

の本刑に算入する旨言い渡したことは、刑法二一条の適用につき右各判例と相反す

る判断をしたものといわなければならない。論旨は理由があり、原判決中右の部分

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は、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文により破棄を免れない。

よつて、同法四一三条但書により、原判決中「当審における未決勾留日数中一〇

〇日を原審の言い渡した刑に算入する。」との部分を破棄し、刑法二一条を適用し

て原審における未決勾留日数五五日を本刑に算入し、原判決中その余の部分に対す

る上告は、上告趣意としてなんらの主張がなく、したがつてその理由がないことに

帰するから、刑訴法四一四条、三九六条によりこれを棄却し、当審における訴訟費

用は、同法一八一条一項但書により被告人に負担させないこととし、主文のとおり

判決する。

この判決は、裁判官横井大三の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によ

るものである。

裁判官横井大三の反対意見は、次のとおりである。

わたくしは、原判決全部を破棄したうえ、当審において、被告人の本件控訴を棄

却するとともに原審における未決勾留日数五五日を本刑に算入する旨の判決をすべ

きものと考える。その理由は、当裁判所昭和五五年一月一一日第三小法廷判決(刑

集三四巻一号一頁)におけるわたくしの反対意見と同じである。

検察官吉永祐介 公判出席

昭和五六年二月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 環 昌 一

裁判官 横 井 大 三

裁判官 伊 藤 正 己

裁判官 寺 田 治 郎

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