大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和58(あ)1 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

一 弁護人海渡雄一、同大口昭彦の上告趣意について

所論のうち、死刑を定めた刑法の規定の違憲をいう点は、右規定が憲法一三条、

三一条、三六条に違反するものでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第

一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁)とするところで

あるから、理由がなく、憲法一四条、三一条違反をいう点は、検察官のした被告人

に対する本件公訴の提起は差別的意図に基づくものではなく、訴追裁量を逸脱して

いないことが認められるから、所論は前提を欠き、その余は、事実誤認、量刑不当

の主張であって、適法な上告理由に当たらない。

二 被告人本人の上告趣意について

所論のうち、死刑を定めた刑法の規定の違憲をいう点は、前示のとおり理由が

なく、その余は、違憲をいう点を含め、実質はすべて単なる法令違反、事実誤認、

量刑不当の主張であって、適法な上告理由に当たらない。

三 また、記録を調べても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない

(記録によれば、被告人が、A、Bと共謀のうえ、Cを殺害したこと、A、D、B、

Eと共謀のうえ、Fを殺害したこと、Dと共謀のうえ、Gらが現に住居に使用する

同人方家屋に放火したがその目的を遂げなかったこと、Hを脅迫して約束手形五通

(手形金額合計二七四万円)を喝取したこと、D、Iと共謀のうえ、Jを殺害した

ことを含め、第一審判決を維持した原判決の認定は正当と認められる。また、被告

人は、共犯者らに対し、報酬の支払を約して右各殺害行為等を依頼し、三名の殺害

を次々に実行させるなどしたものであって、その刑責は重大であり、原判決が維持

した第一審判決の死刑の科刑は、やむをえないものとして当審も是認せざるをえな

- 1 -

い。)。

よって、刑訴法四一四条、三九六条、一八一条一項但書により、裁判官全員一致

の意見で、主文のとおり判決する。

検察官石川弘 公判出席

平成元年一〇月一三日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 貞 家 克 己

裁判官 安 岡 滿 彦

裁判官 坂 上 壽 夫

裁判官伊藤正己は退官につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 貞 家 克 己

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!