大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和60(さ)1 判決

主 文

麻生簡易裁判所が、被告人に対し、昭和五八年六月二二日にした略式命

令を破棄する。

被告人を免訴する。

理 由

本件記録によると、麻生簡易裁判所は、昭和五八年六月二二日付の公訴提起、略

式命令請求により、同日、「被告人は、昭和五八年二月二一日午後四時一三分ころ、

茨城県公安委員会が道路標識によつて一時停止すべき場所と指定した茨城県鹿島郡

a町大字bc番地のd先道路において、普通乗用自動車を運転して交差点に入るに

際し、一時停止しなかつたものである。」との罪となるべき事実を認定し、道路交

通法四三条、四条一項、一一九条一項二号、同法施行令一条の二、刑法一八条、罰

金等臨時措置法二条、刑訴法三四八条を適用して、「被告人を罰金八〇〇〇円に処

する。これを完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算した期間

被告人を労役場に留置する。第一項の金額を仮に納付することを命ずる。」旨の本

件略式命令を発付し、右略式命令は、正式裁判請求期間の経過により、昭和五八年

七月七日確定した。しかるに同簡易裁判所は、これより先同年三月九日付の公訴提

起、略式命令請求に基づき、同日、被告人に対し、右と同一の事実につき同一の法

条により、同一内容の略式命令を発付し、右略式命令は、正式裁判請求期間の経過

により、同月二四日確定したものであることが明らかである。

そうすると、麻生簡易裁判所は、既に同一公訴事実について確定の略式命令があ

つたのであるから、その後の昭和五八年六月二二日付の公訴提起、略式命令請求に

かかる公訴事実については、刑訴法三三七条一号により、判決で免訴の言渡しをな

すべきものであつた。しかるに、これを看過して同日重ねて同一事実につき発した

本件略式命令はその審判が法令に違反するものであるから、右略式命令の破棄を求

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める本件非常上告は理由がある。そして右略式命令は、被告人に不利益なものであ

ることは明らかであるから、同法四五八条一号により右略式命令を破棄し、被告事

件につき同法三三七条一号により被告人を免訴すべきものとし、裁判官全員一致の

意見で、主文のとおり判決する。

検察官河野博 公判出席

昭和六〇年一〇月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 伊 藤 正 己

裁判官 木 戸 口 久 治

裁判官 安 岡 滿 彦

裁判官 長 島 敦

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