大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和61(オ)698 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人保津寛、同露口佳彦、同佐々木信行、同岡和彦、同小野博郷の上告理

由について

原審は、被上告人の亡父訴外D(以下「D」という。)は、昭和三〇年四、五月

ころから原判決添付の物件目録一記載の建物(以下「本件建物」という。)の一部

である同目録二記載の建物部分(以下「本件建物部分」という。)を占有使用して

きたところ、昭和三一年六月三〇日ころ本件建物の賃借人である訴外E株式会社と

の間で本件建物部分につき転貸借契約を締結し、以後同会社に対して賃料の支払を

継続してきたものであり、D死亡後は被上告人が世帯主となつて本件建物部分の用

益を継続してきたこと、及び上告人は昭和三二年一二月末ころDの用益の事実を知

つたことを認定し、右事実関係のもとにおいて、D及び被上告人の用益が転借の意

思に基づくものであることは、上告人がDによる用益の事実を知つたことにより、

本件建物の所有者である上告人に対しても客観的に表現されるに至つたというべき

であるから、被上告人は、昭和三二年一二月末ころから二〇年を経過した昭和五二

年一二月末ころには本件建物部分につき上告人に対抗しうる転借権を時効により取

得したと判断しているのであつて、右認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、

正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよ

う、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見

解に立ち若しくは判決の結論に影響のない事項について原判決を論難するものにす

ぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主

- 1 -

文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 伊 藤 正 己

裁判官 安 岡 滿 彦

裁判官 長 島 敦

裁判官 坂 上 壽 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!