大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和62(あ)1062 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人藤原栄二の上告趣意のうち、憲法前文、九条、一三条、三一条、三六条違

反をいう点は、現行の死刑制度が憲法の右各規定に違反しないことは、当裁利所の

判例(最高裁昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二

巻三号一九一頁)の趣旨とするところであるから、所論は理由がなく、その余の点

は、量刑不当の主張であって、適法な上告理由に当たらない。

また、記録を精査しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない(

本件は、北海道有珠郡a町ではく製加工販売、きつね生皮仲買をしていた被告人が、

Aから買い入れたきつね生皮の残代金の支払に窮し、昭和五四年七月一八日夜、沙

流郡b町の同人方に赴きその支払の猶予を請うたが、暴力団とも交際があると聞い

ていた同人から右代金の支払の遅れを厳しく問責され、「あんたの店の物を代金の

かたに全部持ってくるぞ。」、「お前の車を置いていけ。」などと被告人の商売を

危うくするようなことを言われた上、同人に貸すため持参したライフル銃を被告人

の胸元近くで振り回されるなどしたため、恐怖感にかられ、とっさに殺意を生じ、

同人からライフル銃を奪い取り、右ライフル銃で、同人の妻及び次男(当時二歳)

の目の前でAを撃ち、犯行の発覚を恐れて右妻及び次男をも撃って、いずれも銃弾

を頭部に命中させ、さらに、二階に上がり、逃げようとしたAの長女(当時二二歳)

の頭部を撃ち、倒れて動かなくなっていた右四名にとどめを刺そうと更に一ないし

二発の銃弾を頭部等に撃ち込み、右四名の被害者を頭部射創による脳中枢の直接破

壊により即死させて殺害するなどした、という事案である。被告人の右犯行は、A

の言動に触発されたとはいえ、極めて短絡的、衝動的に妻子の目前で同人を殺害し

たばかりでなく、犯行を隠ぺいするため何ら落ち度のない二歳の幼児を含む妻子三

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名を殺害したものであって、動機に酌量の余地はない。犯行の手段方法は、ライフ

ル銃で至近距離から被害者らの頭部をねらい撃ち、とどめまで刺すという、冷酷か

つ凶悪なものである。一家四人の生命を奪った結果が重大であることはいうまでも

なく、たまたま札幌にいて難を逃れたAの長男の被害感情は強烈であり、社会に与

えた影響も無視することができない。以上のような本件犯行の罪質、動機、態様及

び結果等にかんがみると、ライフル銃を振り回すなど脅迫的言動に及んだという被

害者Aにも落ち度がなかったとはいえず、さらに、衝動的犯行であって計画的犯行

とはいえないこと、本件に至るまで前科がないこと、反省悔悟していることなど被

告人のためにしんしゃくすべき事情を考慮しても、その罪責は誠に重大であって、

原判決が維持した第一審判決の死刑の科刑は、当裁判所もこれをやむを得ないもの

として是認せざるを得ない。)。

よって、刑訴法四一四条、三九六条、一八一条一項ただし書により、主文のとお

り判決する。

この判決は、裁判官大野正男の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見によ

るものである。

裁判官大野正男の補足意見は、最高裁昭和六二年(あ)第五六二号平成五年九月

二一日第三小法廷判決における補足意見と同一であるから、ここにこれを引用する。

検察官豊嶋秀直 公判出席

平成五年一二月一〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 大 野 正 男

裁判官 園 部 逸 夫

裁判官 佐 藤 庄 市 郎

裁判官 可 部 恒 雄

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裁判官 千 種 秀 夫

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