最高裁判所第二小法廷 平成15年(行ヒ)343号 判決 2006年6月19日
上告人
福生商事株式会社
同代表者代表取締役
新井朗
同訴訟代理人弁護士
松尾翼
山田二郎
山口和男
大川原紀之
内山美穂子
被上告人
東京都立川都税事務所長
井上和夫
同指定代理人
平野善彦
同参加人
総務大臣
竹中平蔵
同指定代理人
竹内秀明
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人松尾翼ほかの上告受理申立て理由について
地方税法(平成16年法律第17号による改正前のもの)700条の3及び東京都都税条例(昭和25年東京都条例第56号)103条の2は,所定の炭化水素油の販売等を軽油引取税の課税の対象としているところ,同法700条の3第3項及び同条例103条の2第4項(以下,これらの規定を併せて「本件各規定」という。)は,上記の炭化水素油について,「炭化水素とその他の物との混合物又は単一の炭化水素で,1気圧において温度15度で液状であるものを含む。」と規定している。
軽油引取税は,本来,軽油を燃料とする自動車の利用者が道路整備の受益者であることから,道路に関する費用に充てることを目的として軽油の引取りを課税の対象とするものであったところ,本件各規定は,軽油以外の「炭化水素とその他の物との混合物」であっても自動車の内燃機関の燃料とされるものについては,その販売等を軽油引取税の課税の対象とすることによって税負担の公平を図ろうとしたものである。このような本件各規定の趣旨やその文理に照らせば,本件各規定にいう「炭化水素とその他の物との混合物」とは,炭化水素を主成分とする混合物に限らず,広く炭化水素とその他の物質とを混合した物質をいうものと解するのが相当である。
原審の適法に確定した事実関係によれば,上告人の販売及び消費に係るガイアックスという名称の自動車用燃料は,炭化水素,アルコール系化合物等を成分とするものであり,被上告人が採取した試料における炭化水素の含有割合は33.7%ないし46.8%であったというのである。そうすると,上記燃料が本件各規定にいう「炭化水素とその他の物との混合物」に当たることは明らかである。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官・今井功,裁判官・滝井繁男,裁判官・津野修,裁判官・中川了滋,裁判官・古田佑紀)