最高裁判所第二小法廷 平成16年(許)2号 決定 2004年2月23日
抗告人 飯田健一
相手方 千葉三菱ふそう自動車販売株式会社
主文
原決定を破棄する。
理由
抗告代理人古田兼裕、同宮本岳、同新田明哲、同市川謙道、同城島聡の許可抗告理由について
本件は、抗告人と相手方との間の東京高等裁判所平成15年(ネ)第2322号損害賠償請求事件について、同裁判所が平成15年8月27日に言い渡した判決に対し、抗告人が上告受理の申立てをしたところ、原審が、抗告人の上告受理申立書及び上告受理申立て理由書には民訴法318条1項所定の上告受理申立ての理由の記載がないことを理由に、同条5項、同法316条1項1号により上記申立てを却下する旨の決定をしたため、抗告人が同決定に対して抗告をした事件である。
上告受理の申立てに係る事件が同法318条1項の事件に当たるか否かは、上告裁判所である最高裁判所のみが判断し得る事項であり、原裁判所は、当該事件が同項の事件に当たらないことを理由として、同条5項、同法316条1項により、決定で当該上告受理の申立てを却下することはできない(最高裁平成11年(許)第8号同年3月9日第一小法廷決定・裁判集民事192号109頁)。本件においては、前期上告受理申立て理由書に、原判決に法令の違反がある旨の具体的な記載があるのであるから、抗告人の上告受理の申立てを却下した原審の前記判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、特別抗告理由につき判断するまでもなく、原決定は破棄を免れない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 福田博 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫 裁判官 滝井繁男)