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最高裁判所第二小法廷 平成2年(行ツ)210号 判決 1991年4月26日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人外山佳昌、同秦清、同増田義憲、同桂秀次郎、同本田兆司の上告理由三の(一)ないし(三)について

市町村立小学校の教員に対しその職責を遂行させるため必要がある場合に研修を命ずる職務命令を発することは、当該小学校の校長の権限としてなし得るものと解されるところ、原審の適法に確定した事実によれば、上告人の学習指導の在り方等に問題があり、これをめぐって上告人と児童の保護者の一部との間に紛争が生じ、右紛争により上告人が担任する学級の授業が混乱したことから、被上告人佐伯町立津田小学校長(以下「被上告人校長」という。)は、被上告人広島県教育委員会(以下「被上告人委員会」という。)及び佐伯町教育委員会の指示を受けて、上告人に学習指導の方法等について研修させるべく本件第一次研修命令を発したというのであり、右発令の経緯、内容からすれば、上告人に対する本件第一次研修命令は適法と認められる。上告人が本件第一次研修命令に従わなかったことは地方公務員法二九条一項所定の懲戒事由に該当するとした原審の判断は、結論において是認することができる。また、原審の適法に確定した事実関係の下において、被上告人校長が上告人に対してした本件担任解除命令は適法であり、上告人がこれに従わなかったことは右懲戒事由に該当するとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論違憲の主張は、原審の認定しない事実を前提とするものであって、失当である。

上告人に対する本件担任解除命令は抗告訴訟の対象となる行政処分に該当せず、右命令の取消しを求める本件訴えは不適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。右原審の判断の違憲をいう主張は、その実質において単なる法令違背の主張にすぎないところ、原判決に法令違背がないことは、右に述べたとおりである。

論旨は、いずれも採用することができない。

同三の(四)について

原審の適法に確定した事実関係の下において、被上告人委員会が上告人に対してした本件懲戒処分が社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したものとは認められないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論違憲の主張は、原審の認定しない事実を前提とするものであって、失当である。論旨は、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

(裁判長裁判官 藤島 昭 裁判官 香川保一 裁判官 中島敏次郎 裁判官 木崎良平)

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