最高裁判所第二小法廷 平成27年(し)428号 決定 2015年10月27日
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣意のうち,刑事確定訴訟記録法(以下「法」という。)4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書が憲法21条,82条に違反するという点は,憲法の上記各規定が刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものでないことは,当裁判所の判例(昭和63年(オ)第436号平成元年3月8日大法廷判決・民集43巻2号89頁)の趣旨に徴して明らかであるから(平成元年(し)第147号同2年2月16日第三小法廷決定・裁判集刑事254号113頁参照),所論は理由がなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,法8条2項,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
なお,法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれるとする原決定の解釈は,正当である。
よって,法8条2項,刑訴法434条,426条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小貫芳信 裁判官 千葉勝美 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸)