最高裁判所第二小法廷 平成6年(オ)761号 判決 1994年7月08日
上告人
甲野太郎
右代理人弁護士
吉岡康祐
被上告人
甲野花子
被拘束者
甲野春子
被拘束者
甲野夏子
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人吉岡康祐の上告理由について
原審の適法に確定した事実関係の下において、上告人(拘束者)が調停委員会の面前でその勧めによってされた合意に反して被拘束者らの拘束を継続し、被拘束者らの住民票を無断で上告人の住所に移転したことなどの事情にかんがみ、本件拘束には、人身保護法二条、人身保護規則四条に規定する顕著な違法性があるものとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
よって、人身保護規則四二条、四六条、民訴法九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中島敏次郎 裁判官 木崎良平 裁判官 大西勝也 裁判官 根岸重治)
上告代理人吉岡康祐の上告理由
一 原判決が上告人(拘束者)の主張を排斥したのは、上告人(拘束者)の被拘束者らに対する拘束開始が、調停での合意違反によるものであり、それが著しく信義則に反し許されないと判断したからであるが、上告人(拘束者)の被拘束者らに対する拘束状態の違法性については何ら判断せず、もっぱら拘束開始の手段の当不当のみにとらわれて被上告人(請求者)の請求を容認した原判決には、人身保護規則四条の解釈適用を誤った違法があり、かつ、原判決が引用する後記判例(最高裁判所平成五年一〇月一九日第三小法廷判決)にも違反する。
二 原判決は「夫婦がその間の子である幼児に対して共同で親権を行使している場合には、夫婦の一方による右幼児に対する監護は、親権に基づくものとして、特段の事情がない限り、適法というべきであるから、右監護・拘束が人身保護規則四条による顕著な違法性があるというためには、右監護が子の幸福に反することが明白であることを要するといわなければならない(最高裁判所平成五年オ第六〇九号、平成五年一〇月一九日第三小法廷判決)」としたうえで、これを本件についてみると、「拘束者が、女児である被拘束者らの父親として適さないと、一般的に断定すべき証拠はなく、拘束者による監護が被拘束者らの幸福に反することが明白であるとは、特に、長期的な視野でみた場合には、一概にはいえない」と判断した。
にもかかわらず、上告人(拘束者)の主張を排斥し、被上告人(請求者)の請求を容認したのは、上告人(拘束者)が、上告人(拘束者)と被上告人(請求者)間の調停内での合意(被拘束者らを一か月程度、上告人のもとで生活させ、平成六年一月一五日までには被上告人のもとに返す。以下本件合意という)に反して、被拘束者らを被上告人(請求者)に返さずそのま拘束したのが「すでに開始された家事事件手続の裁判所による運用に対する信頼を損なうものであって、著しく信義則に反し、許されない」という理由からである。
しかし、本来人身保護請求が容認されるか否かは、拘束開始の手段の当不当にかかわらず、現在の拘束状態が子の幸福に反することが明白か否かによるべきものと考える。
もし仮に、人身保護規則四条の顕著な違法性の判断に、拘束開始の手段の当不当という評価が反映されるとすれば、子を待ち伏せして監護者のもとから無断で連れ去ったりして拘束を開始した場合は、常に顕著な違法性ありと判断されることになろうが、これまでの裁判例からみて、必ずしもかかる場合においてさえも拘束自体に顕著な違法性ありとは判断されていない。
このことは、人身保護規則四条における顕著な違法性の解釈にあたっては、拘束開始の手段方法についてよりも、現在の拘束状態が違法であるか否か、即ち現在の拘束が子の幸福にとって明白に反するか否かの点を重視していることを意味する。
従って、原判決が上告人(拘束者)の拘束開始の手段の当不当のみにとらわれて被上告人(請求者)の請求を容認したのは、人身保護規則四条の解釈をしていないと言っても過言でない。
また、本件拘束開始が原判決の括弧書部分にいうような、上告人(拘束者)が調停において、最初から被拘束者らを被上告人(請求者)から奪う目的をもって被上告人(請求者)に対して要求したという計画的な行動ではけっしてなく、最初は一月一五日に返すつもりであったのが、仕事の都合でその日には返せなくなり、その後、被上告人(請求者)の親族等から調停外でいろいろ言われ、このまま約束通り被拘束者らを被上告人(請求者)に返すと、二度と子に会わせてくれないかもしれないという不安が強く生じたので、不本意ながら約束を反故にせざるを得なかったのである。
かかる上告人(拘束者)の心理状態の変化を考えれば、本件合意を反故にして拘束を開始したことについて、一方的に上告人(拘束者)のみが非難されるいわれはないし、まして、本件合意違反が、即、拘束の違法性につながると断定することは早計である。
尚、家裁による調停というのがどの程度権威あるものなのか、信頼のおけるものなのかについてはあえて言及しないが、そもそも代理人がついていない本人同志の離婚調停で、親権者につき合意に達していない段階で、子をある程度の期間相手方に引き渡すという約束を、調停の場においてさせることは絶対に避けるべきであり、そのような約束をさせた調停委員の資質自体が問われるべきであり、ひいては裁判所の責任が問われるべきであると言っても過言でない。にもかかわらず、本件人身保護請求事件の判断の中で、上告人(拘束者)の約束違反は裁判所の信頼を損なうから信義則に反し許されないとし、被上告人(請求者)の請求を容認することは、そのような危険な約束をあえてさせた裁判所(調停委員)の失敗を取り返すために、裁判所自らが自己弁護をしたものであると評価しても過言でない。
さらに、原判決は、本件合意違反後「急きょ被拘束者らの住民票を請求者に無断で拘束者の住所に移転し、拘束者の住所地において、被拘束者らの入学等の手続を進めている。このような拘束者の性急な行為は、一般的に、幼児にとって居住環境を安定させること、感じ易い年齢の女児にとって母親の存在が大切であることについて配慮しないものであることに加えて、いたづらに紛争が複雑化することを顧みず、単に被拘束者らを自らの手もとにとどめて家事事件手続を自己の望む方向へ進行させようとするものとみられても仕方がない」と判示する。
しかし、上告人(拘束者)が被拘束者らの入学手続を進めたことは、被拘束者らの教育環境整備のためやむをえないものであり、何ら非難されるべきことではないし、かつ、子供は母親が育てるのが妥当という一般論を展開しているだけで、このことが拘束の違法性を判断する基準になりえないのは言うまでもない。原判決は本件合意を反故にした上告人(拘束者)に対する制裁の意味合いを持つ悪意に満ちた判決であり、初めに結論ありきといった判決と評価できる。
三 以上から、原判決は、上告人(拘束者)の被拘束者に対する現在の拘束状態の違法性の有無につき全く判断しておらず(判決中には、本件拘束が被拘束者らの幸福に反することが明白であるとは特にはいえない、と判断している部分もありながら)、人身保護規則四条の解釈適用を誤っている違法があり、原判決の法令違背は判決に影響を及ぼすことが極めて明らかであり、かつ、判例にも違反するものであるので、原判決は破棄を免れない。
《参考 原審判決》
主文
一 被拘束者甲野春子及び同甲野夏子を釈放し、請求者に引き渡す。
二 手続費用は拘束者の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求者
主文と同旨
二 拘束者
1 請求者の請求を棄却する。
2 被拘束者甲野春子及び同甲野夏子を拘束者に引き渡す。
3 手続費用は請求者の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求の理由
1 拘束者による被拘束者らの拘束(以下「本件拘束」という。)
(一) 請求者と拘束者は、昭和五七年四月三〇日に婚姻し、同人らの間には昭和六二年六月二七日被拘束者甲野春子が、平成元年一二月二七日被拘束者甲野夏子(いずれも女児)が出生した。
(二) 請求者と拘束者は、平成三年二月まで請求者の肩書住所地において、共同して被拘束者らを監護養育していたが、平成三年三月以降は拘束者が単身で岡山市に転居したため、その後は請求者が前記肩書住所地において被拘束者らを監護養育してきた。
(三) 請求者は、平成五年八月、拘束者を相手方として、岡山家庭裁判所に離婚調停(平成五年(家イ)第四二九号、以下「本件調停」という。)を申し立てた。本件調停の第一回期日(平成五年一二月一日)に、請求者と拘束者との間で、被拘束者らの冬休みの間拘束者が被拘束者らと一緒に暮らせるように、被拘束者らを拘束者のもとに行かせ、拘束者は、遅くとも平成六年一月一五日には、被拘束者らを請求者のもとに帰す旨の合意(以下「本件合意」という。)が成立した。
(四) 請求者は、本件合意に基づき平成五年一二月一一日被拘束者らを拘束者のもとに行かせた。しかし、拘束者は、本件合意に反し、現在まで被拘束者らを拘束者の住所地において監護している。
2 本件拘束の顕著な違法性
(一) 拘束者は、本件合意による指定の期日に被拘束者らを請求者に引き渡そうとせず、平成六年一月一九日の本件調停の第二回期日においても今後いつ引き渡すか一切意思表示しなかった。
裁判所における本件合意を履行せず拘束を続ける拘束者の行為は、公権力を利用して被拘束者を奪い去ったと評価すべきであり、離婚調停手続ひいては家庭裁判所に対する信用性を失わせるものである。
(二) 請求者は神奈川県立平塚養護学校に勤務し、請求者の実家近くの持ち家に居住し、請求者に何かあればその両親が十分に援助可能な環境にある。
被拘束者らは平塚市の地元保育園に通園しており、友達も多い。
3 他に救済の目的を達するのに適当な方法がないこと
請求者と拘束者の間では、現在、本件調停手続がなされているが、拘束者の態度から右手続において相当の期間内に被拘束者らの救済の目的を達することはできない。特に、被拘束者春子は今春平塚市の小学校に入学する予定であり、現在、右手続中である。
よって、請求者は、人身保護法二条、同規則四条により被拘束者の救済を求める。
二 拘束者の主張
1 請求の理由1について
認める。
2 請求の理由2について
(一) 請求者は拘束者との間で、平成五年三月ころまでは別居生活をしていたものの離婚について話をしたことはなかったが、同月以降請求者が離婚したいと言い出し、同年八月一方的に本件調停を申し立てた。
本件調停の第一回期日に本件合意が成立し、平成五年一二月一一日に拘束者が被拘束者らを迎えに平塚市に行ったところ、請求者は快く拘束者及び被拘束者らを送り出した。
平成六年一月一三日、請求者から同月一五日に被拘束者らを帰してくれるのかという電話があり、拘束者が同日は平塚には行けないと答えた。請求者は半狂乱状態になり、話ができなくなった。
拘束者は、本件調停の第二回期日(同月一九日)に被拘束者らを請求者に引き渡そうと考えていたものの、請求者やその親族の硬直した態度から、被拘束者らを請求者に引き渡すと二度と被拘束者らに会わせてくれないだろうという不安から、右期日には被拘束者らを連れていかなかった。
以上の経過によれば、拘束者は請求者の同意のもとに被拘束者らを監護養育しているもので、そもそも拘束とは言えない。仮に拘束に該当するとしてもその開始は平成六年一月一五日か遅くとも同月一九日からである。
(二) 拘束者は、現在拘束者の住所地の拘束者の父名義の建物に、父母と被拘束者らの五人で暮らしている。右建物は二階建てで被拘束者らと生活する十分の広さがある(一階は台所他七室、二階は四室)。
拘束者は、岡山市民生協に勤務しており、生活は安定している。祖父母は被拘束者らの監護養育に積極的に協力する意向である。
被拘束者夏子は、アトピー性皮膚炎であり、治療のための食事療法等日常生活に注意が必要であるが、拘束者は主治医の指示に従って献身的に治療にあたり、平成四年夏に拘束者が被拘束者らとともに岡山で過ごした一か月間に症状もよくなり、請求者からも感謝されている。
他方請求者においては、実家と自宅の二重生活であること、請求者の父母は高齢であること、夜に被拘束者らを実家に預けて週二回のテニススクール、週一回のピアノレッスンに通っていること、被拘束者夏子のアトピー性皮膚炎に対する配慮がない等の事情がある。
右の拘束者側及び請求者側の事情をみれば、拘束者が被拘束者らの監護養育をすることが被拘束者らの幸福に適することが明らかである。仮に、いずれに監護させるのが被拘束者らの幸福に適するか判断しかねる状況であったとしても、拘束者が被拘束者らを監護することが、被拘束者らの幸福に反することが明らかであるとはいえない。
よって、現時点における拘束者による被拘束者らに対する監護、拘束は、人身保護規則四条本文に当たらない。
3 請求の理由3について
否認する。
第三 疎明資料
本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりである。
理由
一1 請求の理由1について
争いがない。
2 請求の理由2について
(一) 右争いのない事実及び証拠(甲三、四、八、乙一、請求者、拘束者)、弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
請求者と拘束者とは、昭和六三年三月ころに離婚について話し合い、拘束者が被拘束者春子を連れて拘束者の実家である岡山に行ったことがあったが、その際は双方ともやり直すことで合意した。しかし、その後、両者の関係は悪化し、平成三年三月には拘束者が単身岡山に転居し、別居生活を始めた。
拘束者は、別居後、請求者の了解を得て、被拘束者らとほぼ一か月に一回会い、平成三年夏には被拘束者春子を、平成四年夏、冬は被拘束者らを岡山に連れて行き、一か月程度一緒に過ごしたりしていた。
請求者は、拘束者との別居生活が二年を経過したころ、拘束者に対し、離婚したい旨伝え、本件調停を申し立てた。
平成五年一二月一日、本件調停の第一回期日において、拘束者は調停委員に対し、同年七月から被拘束者らに会っていないので、冬休みの間は被拘束者らと一緒に暮らしたい、平成六年一月八日ないし同月一五日には請求者のもとに帰す、と強く要望した。調停委員は、請求者に対し、本件調停を円滑に進めるうえでも拘束者の要求に応じるようにすすめた。
そこで、請求者は、本件調停を円滑に進めるためには拘束者の要求に応じることが必要であり、調停の場での約束なら拘束者も守るであろうと考え、拘束者の右要求に応じた。
右調停期日において、請求者と拘束者との間で、請求者は拘束者に対し、平成五年一二月一一日に被拘束者らを拘束者のもとに行かせ、拘束者は平成六年一月八日か遅くとも同月一五日には被拘束者らを請求者のもとに帰す旨合意(本件合意)し、拘束者は、平成五年一二月一一日、被拘束者らを平塚から岡山の拘束者の住所地に連れて行った。
拘束者は、平成六年一月一三日、請求者からの電話連絡に対し、さほどの説明をすることなく、「一五日には平塚に帰れない。」と答え、右直後の請求者の父からの電話に対しても、一五日に帰れない理由を説明しなかった。
拘束者は、平成六年一月一九日(本件調停の第二回期日)に被拘束者らを同行せず、被拘束者らを請求者のもとに帰すようにとの調停委員の説得にも応じることなく、同年二月二日(本件調停の第三回期日)にも被拘束者らを同行せず、被拘束者らを請求者に引き渡すことを拒否した。
拘束者は、本件調停の第二回期日の翌日、被拘束者らの住民票を拘束者の住所地に移す手続をし、同年二月三日ころ、被拘束者らの住民票を、請求者に無断で岡山市に移動した。
拘束者は、請求者が人身保護請求をした以上、裁判で決着をつけたいとしており、現時点において任意に被拘束者らを請求者のもとに帰す意思はない。
被拘束者らは、従前から地元の保育園に通園している。被拘束者春子は平成六年四月一日付けで平塚市立延松小学校に入学する予定で、同年一月一八日付けで平塚市から請求人宛てに入学通知書が届けられている。
拘束者は、右のとおり被拘束者らの住民票を移動し、岡山市において被拘束者らの入学等の手続を進めている。
(二) 夫婦がその間の子である幼児に対して共同で親権を行使している場合には、夫婦の一方による右幼児に対する監護は、親権に基づくものとして、特段の事情がない限り、適法というべきであるから、右監護・拘束が人身保護規則四条による顕著な違法性があるというためには、右監護が子の幸福に反することが明白であることを要するものといわなければならない(最高裁判所平成五年(オ)第六〇九号、平成五年一〇月一九日第三小法廷判決)。
これを本件についてみると、拘束者が、女児である被拘束者らの父親として適さないと、一般的に断定すべき証拠はなく、拘束者による監護が被拘束者らの幸福に反することが明白であるとは、特に、長期的な視野でみた場合には、一概にはいえない。
しかし、他方、拘束者による本件拘束の開始は、前示のとおり、請求者と拘束者の夫婦関係の紛争を、被拘束者らに対する監護を含めて調停するための、裁判所における家事調停手続の場において、拘束者の、是非とも被拘束者らと休暇を過ごしたいという趣旨の、請求者のもとに被拘束者らを帰す期限を付けた要望に対し、調停委員のすすめがあって、請求者が応じたことを契機とするものである。したがって、拘束者、請求者及び関係者の間において、被拘束者らの拘束者のもとでの滞在は、前示約束の期限内の一時的なものであることが了承され、右期限後に、拘束者が被拘束者らを請求者のもとに帰さない事態は、全く予定されていなかったのである(拘束者にとって予定の行動であったとすれば、ことは更に重大である。)。しかるに、拘束者は、前示家事調停手続、本件人身保護請求手続を通じて、本件合意に反し、被拘束者らを今後引き続き監護する意思を示し、請求者のもとですでに公立の小学校への入学通知書が届いている状況であるにもかかわらず、急きょ被拘束者らの住民票を請求者に無断で拘束者の住所に移転し、拘束者の住所地において、被拘束者らの入学等の手続を進めている。このような拘束者の性急な行為は、一般的に、幼児にとって居住環境を安定させること、感じ易い年齢の女児にとって母親の存在が大切であることについて配慮しないものであることに加えて、いたずらに紛争が複雑化することを顧みず、単に被拘束者らを自らの手もとにとどめて家事事件手続を自己の望む方向へ進行させようとするものとみられても仕方がないものである。右拘束者による被拘束者らに対する監護・拘束は、父親によるものとはいえ、現時点では、子の幸福を希求する法の趣旨にそわず、すでに開始された家事事件手続の裁判所による運用に対する信頼を損なうものであって、著しく信義則に反し、許されないものというべきである(拘束者が主張する、請求者がテニススクールやピアノのレッスンに通っていること、被拘束者夏子がアトピー性皮膚炎にかかっていることなどの事情は、右判断を左右するものではない。)。
3 請求の理由3について
前示説示したところから明らかである。
二 結論
よって、本件請求を認容し、被拘束者らを釈放して請求者に引き渡す。
手続費用は拘束者の負担とする。
右について、人身保護法一六条三項、人身保護規則三七条、人身保護法一七条、人身保護規則四六条、民事訴訟法八九条適用。
岡山地方裁判所第二民事部
(裁判長裁判官池田亮一 裁判官吉波佳希 裁判官遠藤邦彦)