最高裁判所第二小法廷 平成8年(オ)1948号 判決 1999年9月17日
上告人
川口晴男
上告人
川口久子
上告人
川口岳志
上告人
川口夏織
上告人
川口亮
右両名法定代理人親権者
川口晴男
川口久子
右五名訴訟代理人弁護士
中島通子
藍谷邦雄
吉田健
被上告人
帝国臓器製薬株式会社
右代表者代表取締役
山口隆
右当事者間の東京高等裁判所平成五年(ネ)第四〇三四号転勤命令無効確認、損害賠償請求事件について、同裁判所が平成八年五月二九日に言い渡した判決に対し、上告人らから上告があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人中島通子、同藍谷邦雄、同吉田健の上告理由について
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足りる。右事実関係の下においては、上告人川口晴男に対し被上告人の東京第一営業所医薬第四課から名古屋営業所医薬第二課への転勤を命ずる本件転勤命令が、業務上の必要性に基づくものであって、不当な動機、目的をもってされたものではなく、上告人らの被る経済的、社会的、精神的不利益が社会通念上甘受すべき程度を著しく超えるものということはできないなどとして、本件転勤命令は違法なものとはいえず、これをもって債務不履行又は不法行為に当たるとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。右判断は、所論引用の判例に抵触するものではない。論旨は、違憲をいう点を含め、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定に沿わない事実を交え、独自の見解に立って原審の右判断における法令の解釈適用の誤りをいうものにすぎず、採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 北川弘治 裁判官 河合伸一 裁判官 福田博 裁判官 亀山継夫 裁判官 梶谷玄)