大判例

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最高裁判所第二小法廷 平成1(あ)1317 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

一 弁護人白谷大吉の上告趣意のうち、憲法違反をいう点は、死刑を定めた刑法一

九九条の規定が憲法三六条に違反するものでないことは当裁判所の判例(最高裁昭

和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁)

とするところであるから、理由がなく、その余は、単なる法令違反、量刑不当の主

張であって、適法な上告理由に当たらない。

被告人本人の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であって、適法な上告理

由に当たらない。

二 所論にかんがみ、記録を調査しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認

められない。

1 記録によれば、本件犯行時における被告人の完全な責任能力を肯定した原判

断は、正当として是認することができる。

2 本件は、被告人方の水道の蛇口にホースを固定するための金具が紛失したこ

とから、近隣に居住するA(以下「A」という。)の長男B(中学生)がこれを窃

取したものと邪推して、右A方に赴いてAにその心当たりを執ように尋ねるなどし、

これに立腹した同人から激しい言葉を浴びせられるや自宅から出刃包丁を持ち出し

て再び右A方に赴いたところ、その際応対したAの態度に極度に激高して、同人の

胸部を右出刃包丁で二回にわたり力一杯突き刺して同人を殺害し、さらに、右出刃

包丁で、被告人を制止しようとしたAの妻Cに対し、その胸部、頸部等を突き刺し

あるいは切りつけ、必死になって逃げ回る右Bに対しても、その胸腹部を突き刺し、

頸部から背部にかけて滅多突きにするなどして、右両名をも殺害したというもので

ある。右のような本件犯行の動機、態様及び結果に照らすと、被告人の罪責は誠に

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重大というほかなく、被告人が妄想型人格障害のため邪推曲解しやすい傾向を有す

る軽度の精神薄弱者であって、本件はそのような被告人が衝動的に犯した犯行であ

ること、被告人にはさしたる前科はないこと、被害者らの遺族との間に和解が成立

していることなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、原判決が維

持した第一審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認

せざるを得ない。よって、同法四一四条、三九六条、一八一条一項ただし書により、

裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官堀川和男 公判出席

平成七年四月二一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 中 島 敏 次 郎

裁判官 大 西 勝 也

裁判官 根 岸 重 治

裁判官 河 合 伸 一

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