大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 平成3(オ)1807 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人小池通雄の上告理由第一について

新株発行は、株式会社を代表する権限のある取締役によって行われたものである

以上、新株発行に関する有効な取締役会決議がなくても、有効であり(最高裁昭和

三二年(オ)第七九号同三六年三月三一日第二小法廷判決・民集一五巻三号六四五

頁)、また、著しく不公正な方法により行われても同様であって、このことは、発

行された新株がその引受人の下にとどまっている場合であっても異なるものではな

い(最高裁平成二年(オ)第三九一号同六年七月一四日第一小法廷判決)。

右と同旨の見解に立って、所論の事由を新株発行の無効の事由に当たらないとし

た原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論

旨は、独自の見解に基づいて原判決を非難するものにすぎず、採用することができ

ない。

同第二について

新株発行の無効の訴えにおいて、商法二八〇条ノ一五第一項の出訴期間経過後に

新たな無効の事由を追加して主張することは許されないものと解するのが相当であ

る。けだし、右規定が出訴期間を新株発行の日から六箇月内に制限したのは、新株

発行に伴う複雑な法律関係を早期に確定することにあるところ、新たな無効の事由

を右期間後も主張することができるものとすると、右の法律関係が不安定になり右

規定の趣旨が没却されることになるから、右規定は無効の事由の主張をも制限した

ものと解するのが相当であるからである(最高裁昭和四八年(オ)第七九四号同五

一年一二月二四日第二小法廷判決・民集三〇巻一一号一〇七六頁参照)。

- 1 -

右と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、独自の見

解に基づいて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 大 西 勝 也

裁判官 中 島 敏 次 郎

裁判官 木 崎 良 平

裁判官 根 岸 重 治

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!