大判例

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最高裁判所第二小法廷 平成5(あ)59 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

一 弁護人大矢和徳外九名の上告趣意について

公職選挙法一三八条二項の規定及びその適用の違憲をいう点は、選挙運動のた

め戸別に演説会の開催又は演説の実施を告知する行為が、単に選挙人に対して右の

事実を知らせるというだけの域にとどまらず、これを超えて更に演説会への参加の

呼び掛け又はしょうようを伴い、その他何らかの形で選挙人に特定の候補者を強く

印象づけてその候補者の投票獲得に有利な効果を生ぜしめようとするものと認めら

れる方法・態様で行われた場合には、右のような告知行為に適用される限りにおい

て、公職選挙法一三八条二項の規定が憲法二一条一項、一五条一項、三一条に違反

しないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和四三年(あ)第二二六五号同四四年四

月二三日大法廷判決・刑集二三巻四号二三五頁)の趣旨に徴して明らかであり、そ

して、原判決の是認する第一審判決の認定によると、被告人らの本件告知行為は右

のような方法・態様で行われたというのであり、これに右規定を適用しても憲法の

右各条項に違反しないことは、前記のところがら明らかというべきであるから、所

論は理由がない(最高裁昭和五七年(あ)第六四三号同五八年一一月一〇日第一小

法廷判決・刑集三七巻九号一三六八頁参照)。公職選挙法一三八条二項、一項の規

定の意義が不明確であって憲法三一条に違反するという点は、公職選挙法一三八条

二項の規定を右のように解釈適用してもこれによりその内容が不明確になるとはい

えず、また、同条一項の規定が所論のいうように不明確であるということはできな

いから、所論違憲の主張はその前提を欠く。公職選挙法一四二条(昭和五七年法律

第八一号による改正前のもの。以下同じ。)の規定及びその適用の違憲をいう点は、

右規定が憲法二一条一項、一五条一項、三一条に違反しないこと及び右規定を本件

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に適用しても憲法の右各条項に違反しないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和二

八年(あ)第三一四七号同三〇年四月六日大法廷判決・刑集九巻四号八一九頁、最

高裁昭和三七年(あ)第八九九号同三九年一一月一八日大法廷判決・刑集一八巻九

号五六一頁、最高裁昭和四三年(あ)第二二六五号同四四年四月二三日大法廷判決・

刑集二三巻四号二三五頁)の趣旨に徴して明らかであるから、所論は理由がない(

最高裁昭和五五年(あ)第一五七七号同五七年三月二三日第三小法廷判決・刑集三

六巻三号三三九頁参照)。その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であっ

て、適法な上告理由に当たらない。

二 その余の各上告趣意について

弁護人松村文夫外一名の上告趣意のうち、公職選挙法一三八条、一四二条に関

して違憲をいう点は、その理由がないことは前記のとおりであり、その余の点は、

事実誤認の主張であって、適法な上告理由に当たらない。弁護人諌山博外一名の上

告趣意のうち、公職選挙法一三八条二項、一四二条に関して違憲をいう点は、その

理由がないことは前記のとおりであり、その余の点は、単なる法令違反の主張であ

って、適法な上告理由に当たらない。弁護人鶴見祐策の上告趣意は、公職選挙法一

三八条二項に関して違憲をいうが、その理由がないことは前記のとおりである。被

告人A、同B、同C、同Dの各上告趣意は、いずれも、違憲をいう点は、その理由

がないことは前記のとおりであり、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主

張であって、適法な上告理由に当たらない。

よって、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す

る。

平成七年七月七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 根 岸 重 治

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裁判官 中 島 敏 次 郎

裁判官 大 西 勝 也

裁判官 河 合 伸 一

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