最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)1861号 判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人安達幸雄の上告趣意について。
原判決は、被告人の自白のみによって所論判示事実を認定したものではなく、被告人の自白の外に古橋時子に對する司法警察官の聽取書中原判示の供述記載を補強證據としてこれを綜合して認定したものである。そして右聽取書の記載は、被告人が古橋時子に暴行を加え因って同人に傷害を與えたという事実を證するだけであって、原判示の犯罪事実即ち強盗傷人罪の全部を證するものではない。しかし自白を補強すべき證據は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。而して本件において前示聽取書の記載は本件犯罪構成事実の一部を證するものであっても、被告人の自白にかかる事実の真実性を十分に保障し得るものであるから、原判決は被告人の自白のみによって判示事実を認定したものということはできないのである。從って論旨は理由がない。
よって刑訴施行法第二條、舊刑訴第四四六條により主文の如く判決する。
この判決は全裁判官一致の意見である。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重)