最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)665号 判決 1948年10月30日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人小脇芳一の上告趣意第一點について。
しかし、原判決の事実理由中には、「其の盗賍たるの情を察知し乍ら一升當八十圓の割合の代金で買受け以て賍物の故買を為したものである」との記載があり、これによれば、被告人の買受けた玄米が、賍物であることを窺ふに充分であるから、原判決中には、本件玄米が賍物であることの判示がないといふ論旨は當らない。又賍物故買罪において、その買受けた物件が賍物であることを判示するためには、必ずしも、その物件が他人のいかなる犯罪行為によって領得せられたかを具體的に明示することを要するものでもない。從って、原判決には所論の如き違法はない。(その他の判決理由は省略する。)
よって刑事訴訟法第四百四十六條に則り主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。
(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)