大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)763号 判決 1949年5月28日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人崔玉郷辯護人吉崎勝雄の上告趣意第二點について、

原審裁判所が原審被告人内田孝藏と被告人その他の原審相被告人等に對し各別に判決を言渡し何れもその判決主文において押收にかかる麻縄四本を沒收し之を沒收する理由として後者については右押收物件が「被告人石川末男、同崔玉郷等が本件犯行に供した物であって被告人李浩道の所有に屬するから刑法第一九條第一項第二號第二項によってこれを沒收し」と説示していることは所論のとおりである。

しかし附加刑の一つである沒收は本刑に随伴するものであり又刑は共同被告人であっても各別に科すべきものであるから、犯罪供用物件が共犯者の一人に屬する以上は、その者に對する判決が確定したと否とを問はず他の共犯者に對しても沒收の言渡をなすべきものである。そしてそれが同一事件の共同被告人に對して各別に、又は別件として分離された共同被告人に對して各別に判決が言渡された場合であるとによってその理を異にすべきではない。本件は被告人及び原審相被告人石川、真貝、李、淺海、内田等が共謀して強盗をした案件であって、原判決は被告人及び右原審相被告人等は何れも本件強盗の共犯者として科刑したのである。然らば原審か右内田及び被告人とその他の相被告人等とに對する二つの判決において各別に同一の沒收を言渡したのは正當であって毫も違法とすべきではない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑訴施行法第二條、舊刑訴法第四四六條に則り主文の通り判決する。

右は全裁判官の一致した意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例