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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(新れ)487号 決定 1950年4月14日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人山田倫正上告趣意第一点について。

本件起訴状には、公訴事実として、「被告人は豊橋市三輪町東郷三番地において、小麦粉等の製粉業を営むものであるが法定の除外事由がないのに拘らず営利の目的で昭和二四年三月一〇日頃右製粉工場等において、小麦粉約七五四瓩一〇〇瓦をその法定の統制額を超えて販売する目的にて所持して居たものである」と記載し適用すべき罰条として、物価統制令第一三条ノ二、第三五条が表示されているので販売すべき価格又は統制額を表示していなくても物価統制令第一三条ノ二違反の罪の構成要件にあたる事実は具体的に表示され且適用すべき罰条も示されているので右は被告人に対し物価統制令第一三条ノ二違反の罪について起訴したものであること明らかであって何等訴因の明示において欠けるところはない。従って本件公訴提起の手続はその規定に違反したものではなく有効である。そしてもし本件公訴提起の手続が有効であるとすれば所論といえども原判決は憲法第三一条に違反したものと主張する趣旨ではないことその所論自体に徴し明らかであるから本論旨は憲法違犯とはいうけれどもその実質は刑訴第二五六条の問題に過ぎず何等憲法違反の問題ではないので本論旨は刑訴第四〇五条に規定する事由にあたらないこと明らかである。

同第二点。

所論は、被告人に対する量刑の不当を主張するもので刑訴第四〇五条に規定する事由にあたらないこと明らかである。

よって論旨は何れも上告の理由とすることのできないものであり、且本件に対しては同法第四一一条を適用すべきものとは認められないので刑訴第四一四条第三八六条第一項第三号に則り主文のとおり決定する。

この決定は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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