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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(あ)1441号 判決 1952年6月06日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人堂野達也の上告趣意第一点について。

しかし、傷害罪は他人の身体の生理的機能を毀損するものである以上、その手段が何であるかを問わないのであり、本件のごとく暴行によらずに病毒を他人に感染させる場合にも成立するのである。従って、これと見解を異にする論旨は採用できない。(所論引用の判例は暴行を手段とした傷害の案件に関するものであって、本件には適切でない。)

同第二点について。

性病を感染させる懸念あることを認識して本件所為に及び他人に病毒を感染させた以上、当然傷害罪は成立するのであるから論旨は理由なき見解というべく、憲法違反の問題も成立する余地がない。

よって刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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