最高裁判所第二小法廷 昭和25年(あ)2011号 判決 1950年12月22日
主文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
弁護人生天目多忠の上告趣意第一点について。
刑訴規則一八七条一項は、控訴審には、準用がないと解すべきであるから、原判決には所論の如き違法はなく、論旨は理由がない。
同第二点について。
しかし所論は、要するに、その実質は事実誤認の主張であるから採用の限りでない。
同第三点について。
裁判所が数個の公訴事実中、或るものを有罪とし、他のものを無罪とする場合において、これらの数個の事実が互に手段結果の関係にあるものとして一罪として起訴されたものである以上、無罪とされる公訴事実については、主文において特に無罪の言渡をなすべきではなく、判決理由中にそのことを判示すれば足りるものである。所論大審院の判決は数罪として起訴された場合のもので本件に適切ではない。してみれば原判決は正当で所論は理由がない。
同第四点及び第五点について。
しかし所論は、要するにその実質は訴訟法の違反を主張するもので、憲法違反の主張ではないから上告理由となり得ない。
よって、刑訴四〇八条、一八一条一項に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)