最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)1020号 判決 1950年9月22日
主文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差戻す。
理由
弁護人小林直人の上告趣意第一点について。
原審公判調書をみると原審弁護人は弁論として論旨摘録のような陳述をしていることは明かである。そして被告人の本件犯行は遺伝による一時的精神錯乱によって生じた行為と解せられるという言葉は被告人が犯行当時心神耗弱乃至心神喪失の状態にあつたことを主張したものと認められるのであるが原判決にはこれに対する判断が説示されているとは解し得られないのである。然らば論旨は理由があり原判決はこの点において破棄を免れないから他の論旨につについては説明を付けない。
よって刑訴施行法第二条旧刑訴第四四七条第四四八条ノ二により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)