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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)3895号 判決 1953年7月31日

主文

本件第一審判決中被告人に関する免訴の部分並びに原判決を破棄する。

本件を広島地方裁判所に差戻す。

理由

広島高等検察庁検察官志熊三郎の上告趣意について。

所論、外国人登録令所定の登録不申請罪に対する公訴の時効は、同令附則二項所定の三十日の期間の経過の時からその進行を始めるものではなく、その後右申請義務の履践によって、その義務が消滅した時を標準として、右時効期間を起算すべきものであることは、当裁判所の判例(昭和二七年(あ)第七五三号、同二八年五月一四日第一小法廷判決)の示すところである。従ってこれと反対の見解の下に、本件第一審判決主文第三項掲記の公訴事実について、被告人に免訴の言渡をした第一審判決並びに右判旨を容認して検察官の控訴を棄却した原判決はいずれも違法であって、本件上告は理由があり、右両判決は共に破棄を免れない。

よって、刑訴四一〇条、四一三条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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