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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)4992号 決定 1953年11月27日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人佐藤善高、野田元治、片岡等次郎、藤村弁逸、藤北正雄の弁護人森一朗の上告趣意について。

所論は量刑の不当を主張するに過ぎず、上告の適法な理由とならない。

被告人松永高一、藤岡豊の弁護人長山直樹の上告趣意について、

第一点は、原判決の宣告に関与した裁判官中の一人武市忠治判事は、一審の審判をした裁判官であるから、職務の執行から除斥せらるべく、判決に影響を及ぼす訴訟法及び憲法三七条の公平な裁判所の裁判といえないというのである。

しかしながら、前審の審判に関与した裁判官が上級審において、たゞ判決の宣告にのみ関与した場合は、その判決の宣告に関与することは刑訴二〇条にいわゆる「除斥される」べき「職務の執行」に該当しないものと解するを相当とする(昭和一〇年二月七日言渡大審院判決、刑集一四巻六八頁参照。)から、所論違憲の主張は、その前提を欠くものであって採るを得ない。

その余の論旨はいずれも刑訴四〇五条所定の適法な上告理由にあたらない。

被告人平野サカヱの弁護人梅田鶴吉の上告趣意について。

所論はいずれも刑訴四〇五条所定の適法な上告の理由にあたらない。

被告人松田賢治の弁護人梅田鶴吉の上告趣意について。

所論はいずれも刑訴四〇五条所定の適法な上告の理由にあたらない。

被告人中野要の弁護人梅田鶴吉の上告趣意について。

所論はいずれも刑訴四〇五条所定の適法な上告の理由にあたらない。

また記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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