最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)587号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
本件起訴状には罪名としては詐欺のみが示されているに過ぎないが、公訴事実としては、被告人両名は判示四村村長発行の転出証明書五通に変造を加え、これを判示十津川村役場係員に提出した旨の記載があるから、少くとも被告人両名に対して公文書変造及び被告人前久保茂に対して変造公文書行使についても公訴の提起があつたものと認むるのが相当であり、従つて本件の第一審は地方裁判所の合議体でこれを取り扱うべきものである。しかるに、本件第一審は和歌山地方裁判所新宮支部において一人の裁判官によつて審判せられているのであつて、この点において第一審手続は違法であつたといわねばならない。しかし地方裁判所の一人の裁判官によつて審判された場合においても、その控訴審は、地方裁判所の合議体によつて審判された場合と同樣に、高等裁判所であり、これに加えるに、本件は旧法事件として高等裁判所の覆審を経た事件であるから、敢てこれを事物管轄の問題と同一に取り扱う必要はないものというを相当と解すべきである。しからば原審が右第一審の違法を単なる訴訟手続上の問題に過ぎないものとして本件を第一審に差し戻す手続きをとらず、自ら第二審として審判したことは何等違法ではない。されば論旨は理由がない。
(説明)
本判決は決定合議事件を一人の裁判官が審判した場合は、単なる訴訟手続の法令違反であつて、事物管轄の規定に違反したものとして取り扱うべきでないとする。やゝ問題であつたので判例集には登載されないこととなつた。