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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(オ)808号 判決 1953年6月26日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士亀井正男の上告理由について

しかし被上告人永井ふさ子は、さきに昭和二四年中、津地方検察庁検事正木下由兵衛を相手方として津地方裁判所に、被上告人が岐阜県多治見市池田町屋二三六番地亡斉藤米次郎(昭和二二年一月二五日死亡)の子であることの認知請求の訴を提起し(同裁判所昭和二四年(タ)第三号事件)、同裁判所は審理の結果、同年八月二日被上告人勝訴の判決を言渡し、該判決が同月二〇日確定したことは原審の認定したとおりである。而して認知の訴につき言渡した判決は第三者に対しても効力を有することは人訴三二条一項、一八条一項の明定するところであるから、すでに前記の如く被上告人を亡斉藤米次郎の子であるとした認知の判決が正当なる当事者の間に確定している以上、該判決は第三者たる上告人に対しても効力を有するのであつて、上告人は右判決に対し再審の手続で争うのは格別、もはや反対の事実を主張して認知無効の訴を提起することを得ないのは当然である。されば、上告人の本件認知無効の請求が許容できないことは明白であつて、このことは認知の訴の性質を、たとい給付の訴と形成の訴のいずれに属すると解するにしても、なんら結論を異にしないのである。したがつて上告人の本訴請求を排斥した原判決は所論の如く認知の訴に属すると判示した原審の見解の当否を判断するまでもなく正当であつて、論旨引用の大審院判例も原判決の主文に関係がない。それ故論旨は到底採用に由なきものである。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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