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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)2966号 判決 1953年10月02日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人渡部信男の上告趣旨第一点について。

論旨は刑法九五条の規定が憲法一四条に違反し無効であると主張するのである。しかし刑法九五条の規定は公務員を特別に保護する趣旨の規定ではなく公務員によって執行される公務そのものを保護するものであるから、論旨は同条の保護法益に関し誤った見解に立つものである。従って違憲の主張はその前提を欠き採るを得ない。

同第二点について。

しかし所論は事実誤認の主張であって刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらないのみならず金沢税務署調査課間税係大蔵事務官小林章浩が所論臨検捜索差押許可状を携行しこれを相手方に示したことは第一審証人小林章浩の証言により明白であるから原判決には所論のような事実誤認の違法も存在しない。

なお記録を精査するも本件につき刑訴四一一状を適用すべきものとは認められない。

よって刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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