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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)4943号 判決 1953年2月20日

本籍及び住居

宮城県栗原郡若柳町字川北我門五三番地

無職

渡辺秀悦

大正一五年四月二四日生

本籍

東京都足立区千住寿町四番地

住居

東京都足立区西新井町一三八六番地

乾物行商

柳谷民雄

昭和三年二月一四日生

右の両名に対する住居侵入、窃盗、同未遂被告事件について昭和二七年六月二八日仙台高等裁判所の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人渡辺の弁護人高橋万五郎の上告趣意第一点について、

しかし憲法三七条二項の規定は被告人に証人尋問の費用を負担させることを禁ずる趣旨ではないことは当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)三一六号、同年一二月二七日大法廷判決。判例集二巻一四号一九三四頁以下参照)から、論旨は採用できない。

同第二点について、

論旨は量刑の不当を論ずるものであつて、刑訴四〇五条の理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

被告人柳谷の弁護人清野鳴雄の上告趣意について、

「現行刑法において住居侵入罪と窃盗罪とはその被害法益及び犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行為は窃盗罪の要素に属せず、別個独立の行為であり、しかも通常、右両罪の間には手段結果の関係があることが認められるから、第一審判決が両罪を刑法五四条一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正当であつて(住居侵入罪と強盗罪との牽連関係について説示した昭和二三年(れ)一四二九号、同年一二月二四日第三小法廷判決参照)、論旨は理由がない。」

よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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