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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)5440号 判決 1953年3月06日

本籍と住居

岡山県都窪郡中庄村大字徳芳七六九番地

川魚漁師

岡川正平

大正一五年二月七日生

本籍と住居

岡山県都窪郡庄村大字下庄五八二番地

農業

木元増治

大正四年九月二八日生

右岡川正平に対する窃盗、物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、木元増治に対する窃盗幇助、物価統制令違反、臨時物資需給調整法違反、賍物寄蔵、贈賄幇助被告事件について昭和二七年三月一四日広島高等裁判所岡山支部の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

原判決及び第一審判決中被告人岡川正平及び被告人木元増治に関する有罪の部分を破棄する。

第一審判決事実摘示第二の罪につき被告人岡川正平を免訴する。

被告人岡川正平を懲役一年に処する。

第一審判決事実摘示第三の(三)の罪につき被告人木元増治を免訴する。

被告人木元増治を懲役一年及び罰金一万円に処する。

被告人木元増治において、右罰金を完納することができない場合には、金二百円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

当審に於ける訴訟費用は被告人等の負担とする。

理由

被告人岡川正平及び同被告人の弁護人平岡義雄の各上告趣意は、いずれも刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

被告人木元増治の弁護人小倉金吾の上告趣意第一点及び第三点は、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない(なお、犯行の用に供するため器具類を貸与して窃盗を幇助した者がその盗賍を寄蔵した場合においては、正犯者間における賍物の分配寄蔵と異なり、窃盗幇助と賍物寄蔵の二罪が成立するものと解するのを相当とする)。

同第二点及び第四点は後記の如く免訴すべき罪に関するものであるから、これに対しては判断を示さない。

職権を以つて調査すると、第一審判決がそれぞれ併合罪をなすものとして確定した本件公訴事実中、被告人岡川正平に対する第一審判決事実摘示第二の罪及び被告人木元増治に対する同第三の(三)の罪は、昭和二七年政令第一一七号大赦令一条八七号及び八八号によりいずれも赦免されているから、右被告人両名に対する第一審判決中の有罪部分及びこれを是認した原判決は刑訴四一一条五号によりいずれも破棄するを相当とする。しかも、同四一三条但書に従い、直ちに判決することができると認められるから、同法四一四条四〇四条三三七条三号により前記大赦にかゝる罪につき被告人両名を各免訴し大赦にかからない罪については第一審判決の確定した事実に次のとおり法律を適用し被告人両名をそれぞれ主文の刑に処する。

被告人岡川正平の第一審判決事実摘示第一の所為は刑法二三五条六〇条に該当する。被告人木元増治の同第三の(一)の所為は刑法二三五条六二条に、同第三の(二)の所為は刑法二五六条二項罰金等臨時措置法二条三条に、同第三の(四)の所為は刑法一八九条(一九七条)罰金等臨時措置法二条三条刑法六二条に各該当するから、右(一)及び(四)の罪につきそれぞれ刑法六三条六八条三号に従い法定の軽減をなし、かつ(四)の罪につき所定刑中罰金刑を選択すべく、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条四八条一〇条を適用する。なお被告人木元増治において右罰金を完納することができない場合につき刑法一八条を、また、被告人両名の当審における訴訟費用につき刑訴一八一条を各適用する。

よつて裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。

この公判期日には検察官浜田龍信が出席した。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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