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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(オ)530号 判決 1953年12月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士大橋茹の上告理由第一点は、原判決には戦時罹災土地物件令第四条の解釈を誤つた違法があるというにあるが、所論家屋が戦災により滅失した当時上告人が右家屋を正権原なくして使用していたことは、原判決の引用する第一審判決の確定するところであり、同条第一項にいわゆる「建物の滅失したる当時其の建物に居住したる者」には、正権原なくして建物に居住したる者を包含しないものと解すべきであるから、これと同趣旨に出で、同条により本件土地使用権を有する旨の上告人の主張を排斥した原判決は相当であつて所論のような違法はない。

その他の論旨は、「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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